ちょっとしたタイミングの違いで、治療後に症状が出てしまうことがあります。肺水腫が進行していれば注射後に血痰を吐いたり、下痢止めの注射をうったのに何度か下痢が続いたり、腰痛が疑われたので痛み止めをうったら急に腰が抜けてしまったり・・・。直前の動物病院での処置が引き金で症状を発症してしまったかのように誤解されてしまうことがあるのですが、それは病院側としては非常に残念でなりません。もちろん事前のインフォームドコンセントの問題でもあるのでしょうが、必ずしも予期できない症状が現れる可能性も0%ではありません。以前、急性皮膚炎を起こして痒くて仕方がないという初老の犬が来院されたことがあります。今まで病院には通ったことがないという飼い主さん(もちろんワクチンもフィラリア予防もしていません)。仕事で通院することが難しいのでとりあえず治療して欲しいということで抗生物質の注射とお薬をお渡ししたのですが、数時間後に亡くなったという電話が入りました。その時、『あの注射が強すぎたのではないか?』と言われたことがありましたが、注射の詳しい内容を説明し効果と考えられる副作用そして今回の事象との関係について納得(?)していただいたことがあります。ダックスフンドに多い椎間板ヘルニアも腰が痛いからと言っていきなり手術をすることはありません。ヘルニアを回避できるように注射やお薬・サプリメントを使っておくことができる限りの先手治療になるかと思いますが、それでもヘルニア症状を発症してしまう場合もあります。ヘルニアがいつ起きるかということなんて誰にも予期することなどできません。ただ獣医師はその時一番ベストと思われる方法を選択していると思います。決して病気の発症を助長するような処置などしないことをご理解いただければと思います。
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