医療に関わるものにとってタブーというかあまり語られることのない安楽死。決して正解が出ることのない内容ですが個人的な持論として書かせていただきます。久しぶりの投稿でどうしてこの内容なのかというと、最近初診にもかかわらず電話にて安楽死をお願いできないかという問い合わせがあったことがきっかけでした。お電話をいただいた方にもいろいろな事情があるようでお話はお伺いしましたが、初診でいきなり安楽死はお受けできない旨をお話しすると『苦しんでいる動物がいて飼い主が困っているのに、あなたは獣医として手を貸すこともしないのか』とけんか腰に電話を切られてしまいました。この方は数年かかりつけの獣医さんもなく過去に診てもらった獣医さんはもう廃業されているのでした。とはいえ安楽死を行うというのは決断する飼い主、そしてそれを行う獣医にとっても大きな責任を伴うことであり、病気だったペットを中心に戦ってきた飼い主と獣医との間の信頼関係があってこそ選択し行えることだと思っております。今まで開業してきたなかでどうしてもこれを選択せざるおえなかったのは、治療しても症状の改善が見込めない病気(転移が認められた癌)や、鎮痛剤を使っても痛みを取り除いてあげられない病気でした。この病気によってこれから飼い主さんにかかる負担(通院や治療そして費用についてなど)とペットにかかる負担(日常生活が普通に送れるかどうか。薬の副作用など)を説明し、最終的には飼い主さんの判断にお任せすることになります。けれどもそこに到達するまでには獣医としても病気と闘い疲弊していくペットと飼い主さんを見ていてのことです。今回お断りさせていただいた方には申し訳なく思っておりますが、このことに関しては当院の信念として曲げることができないものでした。そしてこのHPをご覧になった方も、選択することになるかもしれない安楽死について考えていただければ幸いです。
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