国家試験に受かり獣医師免許をもらった時から“先生”と呼ばれることになるのですが、これは名誉であることでもあり、ある意味普通の人ではなくなったようなプレッシャーがあります。特にヒトのお医者さんではなおのことだと思います。このプレッシャーというのは命を預かることに対してのものであったり、より良い医療を提供できるように日々勉強しなければならないということであったり、挙げ始めるときりがないくらいです。?n けれども“先生”と呼ばれることにふんぞり返り、患者さんに対して心ない態度をとり、勉強することをやめてしまい、漫然と日々を過ごされている方もいるようです。やはり“先生”と呼ばれる仕事を続ける限り毎日が修行であり、常に謙虚にいきたいものです。
妙華 says
のまた先生、初めまして。
昨夜、愛犬15歳(雑種)が前庭疾患となり、今夜は寝ずに愛犬の様子を見守っているところです。初めて行った病院の獣医さんから、病名と症状を聞き、愛犬への不安な思いで何か出来ないものかとPCを開き、検索しているうちに、のまた先生のホームページを見つけました。前庭疾患の項を読み、本当に勇気付けられました。今朝頃にはまた病院に愛犬を連れて行くのですが、内心は、のまた先生の病院まで飛んで行きたい!という気持ちでいっぱいです。私は新潟県在住なのですが、新潟に、先生のお勧めの病院はありませんか?うちのわんこは、今まで一度も病院に行くこと無く、元気元気で来ましたので・・・私の行く病院の先生がどうかのまた先生の様な暖かい方でありますようにと、祈るばかりです。
話は変わるのですが、この日の病院日誌にコメントさせていただくのには、実は訳があります。のまた先生の書かれた文面に心底同意し、同時に、胸の奥から再び激しい悲しみと、後悔と、怒りとがこみ上げてきたからです。
今年1月末、私の彼の愛猫(5歳)が突然体調を崩し、入院しました。近所で評判の良い病院だったので、私達はとにかく猫ちゃんの病気を治して欲しい思いから、そこの獣医の冷淡な態度には目をつぶっていました。当初は「この猫は大分悪くなっている。病名ははっきりしないが、多分糖尿病だと思うから、インスリンを投与しながら様子を見ます」と言っていましたが、数日たっても数値が良くならず、毎日面会していた彼に向かって、「病院に連れて来るのが遅すぎた」「もう治らない」「まだ病気の原因は判らないが、多分この治療法でいいはずだ」「血糖値が異常に高いからインスリン投与は外せないが、栄養剤も投与してるから血糖値がなかなか下がらないんだ」等と言っていたそうです。
入院して10日目、何も食べられなかった猫ちゃんが、彼の持ってきた草をもりもり食べだしました。「これなら餌も食べるかもしれない」と獣医が言うので、彼は猫ちゃんの好物の缶詰を少し与えてみました。すると、美味しそうにほんのひとつまみ、パクパクと食べてくれたんです。「昨日まで、よだれを垂れ流して辛そうだったのに、少し元気になってきたよ!!」と、彼は本当に嬉しそうでした。私も面会に行き、獣医に深く感謝しました。その晩、彼の元に病院から連絡があり、2人で急いで向かってみると、猫ちゃんの意識不明の重体になった姿が・・・「あれから、まだ食べると思い、餌を与えた」「栄養剤を投与したまま、たくさん食べたから、血糖値が上がってしまった」「だからインスリンを倍、投与してみたら血糖値が下がりすぎて、脳障害をおこしたようだ」「これはただの糖尿病じゃなくて、非常にむずかしい病気だった」等、心が凍るような獣医の言葉。病院を変えようとこの時ようやく思いましたが、家に連れて帰るにも痙攣し続けている猫ちゃんが不憫で・・・泣く泣くそのまま入院を継続させることにしました。(今もこの日の自分を後悔しています)
翌日早朝、亡くなりました。猫ちゃんの表情は、苦悶の形相でした。獣医は、悲しみに呆けている私達に「残念だったね、せっかく元気になりかけてたのに」「こんな病例は診たことが無い、死因は判らない」「私の治療法に疑問があるなら、解剖して調べてもいい、間違ってないからね」「解剖して、内臓を切り刻めば、病気の原因がはっきりするよ」「死体を氷付けにして、クール宅急便で大学病院に送るなら、私の口ききでただで解剖してもらえる所を紹介するから」・・・私達は何日も何日も、毎日泣きました。私は仕事を一週間休みました。猫ちゃんは、親切な火葬場で綺麗に焼いてもらい、彼の部屋で静かに眠っています。
この獣医は、まさにのまた先生の言われている、『先生と呼ばれることにふんぞり返っている人』だと思います。
だらだらと、長文になってしまい、申し訳ありませんでした。すみません。
今日は、のまた先生のホームページを見つけることができて、本当に嬉しいです。愛情あふれる、先生の文面に、安堵と希望を感じています。これからも愛読させていただきます!