当院でも比較的症例が多い膝蓋骨脱臼整復手術。よほど重度な症例は別としてレントゲンを撮っても膝蓋骨は意外と正常な位置にあり、飼い主様としては説明を受けている際に「ホントに脱臼してるの?」と思われることもあるのではないでしょうか。術前のレントゲン写真がほぼ正常な状態であれば、手術内容にもよりますが術後のレントゲン写真は???なんてこともあります。実際に私が説明するときもレントゲン以外にもっと飼い主様に実感していただけるようなモノはないかと考えていました。この問題をクリアしてくれたのが超音波(エコー)診断装置です。以前にレントゲン装置の著しい進歩については投稿済みですが、超音波も進歩も負けてはおりませんでした。私が大学で学んでいた頃、超音波診断というと心臓の動きや体内臓器の診断に利用していることがほとんどでしたが、ここ数年は人医領域でも関節や整形疾患の診断に超音波を利用するようになってきているようです。写真は膝蓋骨脱臼整復手術の術前術後の超音波画像になります。術前の滑車溝(膝蓋骨が上下に動くための溝)を術後では2mm掘り下げているのがおわかりになるかと思います。ほんの2mmの差ですが、この差が膝蓋骨の脱臼を防止してくれます。術前術後の膝蓋骨脱臼診断とインフォームドコンセントには、1に触診、2にレントゲン、3に超音波が有効であることを実感しています。
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