自分が大学を卒業して臨床の世界に入ったとき、“絶対〜”という言葉ほどこの世界で安易に使ってはいけないと思ったことがありました。交通事故で運ばれてきた猫なのですが、レントゲン写真や血液検査の結果を見る限り“どう見ても助からないだろう”と皆が思っていた症例が日を追うごとに快復して若干の後遺症は残るものの無事に退院してゆくことができました。これに対して、ついさっきまで走り回っていた元気な犬が急に倒れ込んだと思ったらそのまま亡くなってしまったということもあります。
人医療でも動物医療でも絶対ということは無いと思っています。特に直接本人に話を聞くことのできない動物医療では、お掛かりになっている先生の経験と検査結果などから判断して治療してゆくわけですからなおのことです。
患者さんとしては“絶対大丈夫ですよ!”という言葉をかけてもらいたいと思います。けれども動物医療の世界では本当に何が起こるか予期できないことがあります。(自分は実家の病院を継いでからこの言葉は使ったことがありません。)もし良い意味でも悪い意味でも“絶対〜”という言葉をかけられたとしても一喜一憂しないでくださいね。
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