薬と同様に手術の際に使用する糸にもいろいろ種類があります。あるメーカの糸のカタログは厚さが約1センチもあり、その中には角膜や血管を縫合するものから皮膚を縫合するものまで多岐にわたっています。生体内に使用する糸吸収糸というものが主流になってきていますが、昔から使われ続けているオーソドックスな糸として絹糸があります。好んで使用されている先生も多いのですが、この絹糸も時として生体内で悪さをすることがあります。 絹糸は細かい絹の繊維をよりあわせたものなのですが、このような糸は毛細管現象といって液体を吸い上げる性質があります。この絹糸が汚れた液体を吸い上げた状態で体表近くにあったりすると感染の原因となることもあります。つい先日も皮膚に穴が開いたということで来院された患者さんの傷を見てみると、そこから絹糸が出てきました。絹糸を悪者にするわけではありませんが、使用する際には十分な滅菌作業はもちろんのこと、徹底した術後管理を心がけたいものです。
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