股関節という関節が普通の生活をしていて脱臼することはまれですが、交通事故や強い外力が関節に加わると容易に脱臼してしまいます。また、先天的に股関節の構造が弱い場合(股関節形成不全やレッグペルテス症)ではさほどの外力がかからなくても簡単に脱臼してしまいます。私が今まで遭遇してきた股関節脱臼はほとんどが交通事故によるものか、股異形成のためにすでに抜けやすくなっていたもののどちらかでしたが、今回の症例は飼い主さんが誤って突き飛ばしてしまったために起こったものでした。さて股関節が脱臼してしまった場合、まずどうしたらばよいのでしょうか? 先天的に股関節の構造に問題がなければ、積極的に脱臼した関節を整復すべきでしょう。もちろん破綻してしまった関節の構造が修復されるまでは関節の固定や運動制限が必要となります。もし関節の構造に問題があったならばとりあえず脱臼を整復してみるのですが、収まりが悪いことが多く手術(大腿骨頭切除術)を選択しなければならないこともあります。今回は関節の収まりが良さそうなので手術をしなくても済みそうですが、現在は固定と運動制限をしています。股関節の構造が弱い可能性がある子は要注意の疾患です。一度、股関節のチェックをしてみることをお勧めします。
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