腰がふらついている犬のレントゲンを撮ってみて、腰椎(腰骨)に写真矢印のような変形性脊椎症がでていたとすると獣医師としては“腰が弱くなり始めましたね。”と説明するのではないかと思います。“こういった変形は痛みを伴うことがあるんですよ”と説明することで、患者さんにも納得して頂きやすいのではないかと思います。けれども本当に痛いところは変形を起こしているところとばかりは限りません。 同じ症例で脊髄造影を行ったレントゲン写真なのですが、変形を起こしている矢印部位の脊髄神経はあまり圧迫されてはいません。それよりも後方(写真右)の変形を起こしていない腰椎の脊髄神経の方が圧迫されていることが判るかと思います。この状態が椎間板ヘルニアといわれる痛みを伴ったものです。X線はその性質上、椎間板ヘルニアの原因である軟骨組織を映し出すことはできません。ですから通常のレントゲンだけで椎間板ヘルニアの有無を確認することは難しいため、痛みの部位(=手術しなければいけない部位)を確定するためには麻酔をかけて造影をしなければなりません。必ずしも変形性脊椎症≠腰の痛みやふらつきではなく、1つの指標としてをご理解していただければと思います。
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