手術というものはできる限り体の機能が正常な時に行いたいものですが、病気や状態によってはそれらを圧してでも手術しなければならない時もあります。このような場合、事前に飼い主さんには危険を伴う手術であることを伝え、ご理解して頂いた上で手術に挑むことになります。一般に初めて手術を考える機会というと避妊・去勢ではないでしょうか?ほとんどの場合、避妊・去勢の手術といえば健康な時に行われることが多いでしょう。ここで何をもって“健康”と判断するかは先生によってそれぞれ異なりますが、一般的には問診を行い、血液検査・聴診・心電図などのデーターを総合的に分析して判断するのではないかと思います。ここで誤解されないで欲しいことは“健康=麻酔の安全が保証された”ということではないということです。 このようなことを書いてしまうと手術することを怖がってしまう飼い主さんが増えてしまうかもしてませんが、これだけ医学が進歩していても麻酔がどうして効くのかというメカニズムは解明しきれてはいません。安易に麻酔を行うということは、事故と背中合わせということになります。ですから術前にはしっかり検査をし、手術中には体の状態をモニターしより安全に麻酔を行えるように注意を払っています。麻酔のトラブルについて耳にすることがありますが、内容を確認してみると起こるべきして起きているようです。幸いにして私は宇都宮に戻ってから麻酔でのトラブルに見舞われたことはありませんが、それでも麻酔をかけるときは緊張します。初心を忘れないことが事故防止の要かもしれませんね。PS.先日去勢したはずの犬が精巣癌で亡くなったという記事を目にしました。本当に去勢したのかしないのかという争点が問題になっています。決して見た目が良いものではありませんが、摘出したもの(雄なら精巣が2つ、雌なら卵巣と子宮)は飼い主さんも確認されたほうが良いと思いますし、獣医側としても確認してもらうことがトラブルの回避につなかるのではないかと思うのですが・・・。
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