日々診療していると、身体の状態が悪いのだが原因を除去するためにはどうしても手術が必要になってくる症例に出くわすことがあります。ここでお話しする状態が悪いというのは貧血傾向であるとか、血液検査でTPやALBが低く術後の経過が思わしくないであろうものとか、術中に出血を多く伴うであろうものに限っての話になりますが、そういった際に当院では写真にある乾燥プラズマというものを使用しています。人のように血液型が明瞭で血液のストックが常にできない動物医療においては、輸血といっても手軽にできるものではありません。また輸血するにも血液型(DEA1.1 1.2 DEA3〜8)が多種ある犬では適合するものを探すだけでも大変なことになります。乾燥プラズマは人の成分輸血のようなもので、血液型に関係を気にすることなく犬の状態によって投与量を加減すればよいので獣医師としては使用しやすい血液製剤になります。けっして安価なものではありませんが、実際使用していると予想されるトラブルを回避することができています。飼い主さんから“乾燥プラズマを使いたい”というような機会はないと思いますが、獣医療にはこういうものもあるということを知っていただければと思います。
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