病気はしないに越したことはありませんが、先天的に持って生まれてしまったり、犬種特有の病気が出てしまうことがあります。外科的なもので手術をすれば治るものばかりではありません。何らかのお薬を飲み、ある程度の周期で診察を受けなくてはいけないものもあります。最近お問い合わせが多い【気管虚脱】も発症してしまうとお薬や病院とお付き合いをしなければならない病気のひとつです。【気管虚脱】の発生原因は明らかにはなっていませんが、気管を構成している軟骨の糖タンパクやプロテオグリカンが減少してその形状を維持できなくなった為、気管が虚脱(潰れて)しまうようです。診断方法はレントゲンで吸気時と呼気時の撮影を行い気管を比較する方法と、気管支鏡(内視鏡)にて気管を観察する方法が確定診断には有効です。さて飼い主の皆さんが一番気になる治療法〜予後判定ですが、【気管虚脱】という病気は完治ではなく症状の緩和を目的とした治療になることをご理解ください。気管支拡張剤や鎮咳薬、コルチコステロイドによる内科治療も症状を緩和することはできますが、虚脱してしまった気管自体を修復するものではありません。外科手術によって治療する方法も100%ではなく、術後に何らかのケアーが必要となる場合もあります。犬猫は治療さえすれば何でも治ると思われている方もいらっしゃるのですが、【気管虚脱】のように治しきることができない病気もあります。けれども病気と上手につきあうことで快適な日常生活を送ることはできます。動物医療にもこのような病気があることを知っていただければ幸いです。
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