過去にお産を経験していると子宮蓄膿症にはならないといった噂があるようですが、ここのところ手術させてもらっている症例ではこの噂が当てはまっていません。当院で過去2回帝王切開にて出産しているチワワが、お腹が張っているということで来院されました。食欲は何となく落ちているということで超音波を当ててみると・・・・、ずばり教科書に出てくるような典型的な子宮蓄膿症の像でした。気がついたのが早かったせいか血液検査ではWBC・BUN・CREAいずれも正常値で、即手術を行い次の日には見違えるほどの食欲になり無事に退院することが出来ました。もう一つの症例でも過去に自然分娩で出産している子も同様に血液検査では大きな異常はなくとも子宮蓄膿症でした。
よく勉強されている飼い主さんにとっては“もう知っているよ”ということだとは思いますが、子宮蓄膿症を診断するに当たって必要なものは 1)レントゲン検査、2)超音波検査、3)血液検査ではないでしょうか。これら3つの情報を総合的に判断して診断を下すべきでしょう。子宮蓄膿症の時は食欲が落ちると言われていますが、ぎりぎりまで食べていた子もいますし・・・。ここから先は子宮蓄膿症の子宮を摘出した写真をアップさせていただきます。刺激が強いので気の弱い方はここまでに・・・・。まず、1つめの症例は過去にお産をしているチワワの子宮です。2.6kgの体重から摘出した子宮は500gでした。針を刺して内容を見てみると完全に膿になっていました。あと数日様子を見ていたら大変なことになっていたと思われます。2つめの症例はゴールデン・レトリーバーの子宮蓄膿症です。この子はお産は経験していないようでした。36kgのレトリーバーだけあって摘出した子宮も1.5kgありました。 子宮蓄膿症は発見のタイミングが遅れれば遅れるほど命に関わってくる病気です。気をつけましょう。
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