2006年6月に改正動物愛護管理法が施行されました。それでも国民生活センターには購入したペットについて1000件を超える相談が寄せられていると言うことです。決してこれは他人事ではなく身近で起きていることだなぁと実感する出来事がありました。1件目は陰睾丸のフレンチブルドッグ。購入する際はなんの説明もなく、当院で2度目のワクチンを接種する際に発覚しました。陰睾丸は放置しておくとお腹の中にある睾丸が癌化することもあるため手術をしなければなりません。2件目は気管虚脱のチワワ。購入する際、咳をしていたのだけれど『風邪だから薬を飲んでいれば大丈夫』とのことで購入したが症状は変わらず、レントゲンを撮ってみたら病気が発覚。店側の対応は『交換させていただきます』とだけ。3件目は写真の前肢骨格異常のミニチュアダックス。やはり購入時にはなんの説明もなく、帰ってきてから歩き方をみていたら変だと言うことで来院。現在は痛みはなく元気に歩いてはいますが、将来的には関節炎になる可能性があります。この3件の事例はすべて同一ショップから販売されたペットの話です。 [もっと読む…] about 安かろう悪かろう・・・petshopの資質。
どの方法でいくか・・・。
先日、チワワの膝蓋骨脱臼の手術を行いました。膝蓋骨脱臼を起こしているということは触診やレントゲンで診断することが出来ますが、いざ手術ということになるとどの方法でいったら良いか考えてしまうことがあります。この前、久しぶりにみなとよこはま動物病院に行くと、永岡勝好先生が膝蓋骨脱臼の手術をするということで拝見させていただきました。同体で同じ脱臼とはいえ右足と左足では手術内容も異なるのは当然なのですが、自分が勤務していた頃とは手術方法も更に進歩していました。同じ脱臼だからといってこの方法といった定番が必ずしも存在しない膝蓋骨脱臼の整復手術。改めて膝関節外科の奥深さを垣間見てきました。そんなことを踏まえながら今回挑んだ手術、右足は大腿四頭筋と膝蓋骨を支えている靱帯のアライメントを整えること脱臼をコントロール、左足はこれらだけでは不十分だったため再度手術を行いスクリューを1本うつことで脱臼をコントロール出来たようです。整形外科(特に関節外科)は術後のリハビリが大切なことをお話しし、昨日退院に至りました。スクリューをうった方の足に少々挙上が残っていますがこれからしっかり経過を観察していきたいと思っています。
ひげ先生、来院。
やはり困る〜未受診妊犬
気がついたら2月7日。早いもので1年のうちもう1ヶ月が過ぎてしまいました。先日の新聞で未受診妊婦の記事があり、だいぶ問題になっているようですが“これって犬にもいえることだよなぁ〜”と思いEntryさせていただいています。これだけ多種多様な犬種が出回っている世の中、【犬は安産】と言われていたのは通用しなくなっています。特に人気のチワワ、ちょっと前ですがドラマに起用されたことで人気のパグ、最近人気が出つつあるフレンチブル。どれも短頭種に分類されるものでほとんどの場合お産には何らかの形で人の手助けが必要となります。妊婦さんほど検診の必要はありませんが、せめて何頭お腹の中にいるのか、産道と胎児の頭の大きさを比較して自然分娩が可能かどうかくらいは事前に知っていきたいものです。
当院では交配したと思われる日から約40〜45日位に一度超音波の検査、そして交配した日から55日位にレントゲンの検査を行っています。こうすることでお産をスムーズに進めることができるからです。動物病院としても一番困るのはやはり駆け込みお産です。お産をさせたい、あるいはお産になるかも知れないと思ったらどうか一度病院での検診を受けてください。
手術をやるからには。
近所の先生の所に手術をしにいったときの話。他の動物病院で骨折の手術を行い骨プレートを除去した後に再骨折をしたようなのですが、手術した病院に駆け込んだところ “うちではもう手術はできません。あとは副木をあてて固まるのを待ちましょう” と、ここまではまぁ許せるのですが “もし骨が固まらないようなら足を切るようになるかもしれません” 患者さんはびっくりして、こちらの病院に駆け込んできたようです。又聞きの話ですから最初の先生がどのようなニュアンスでこのような話をしたのかはわかりませんが、足を切ると言われた飼い主そしてその犬の将来のことを考えたら簡単にこんなことを言うことはできないと思うのですが・・・。 [もっと読む…] about 手術をやるからには。
今年最初の手術は・・・。
新年早々強烈な写真を載せてしまいますが、これは超音波検査で腫瘍が発見された脾臓を摘出した写真です。このゴールデン・レトリーバーは癌で亡くなっている兄弟が居たということで念のため健康診断を受けたところ、超音波検査にて脾臓に大小2つの腫瘍が発見されました。診断を受けた私の先輩の病院では、手術が来週になってしまうということで急遽当院にて手術を行うこととなりました。12歳ということで麻酔時間を短く、出血量をいかに少なくできるかということがこの手術のカギになりましたが、去年導入したVIO300Dのバイクランプによって速やかに手術を行うことができました。今日は飼い主さんと元気に面会でき、あとは病理検査の結果待ちです。脾臓にみられる腫瘍には【血管肉腫】というものがあり、外科手術を行ったあとも定期的な検診と化学療法が必要になることがあります。結果が悪性でないことを祈るばかりです。
あけましておめでとうございます。
何となくお正月ボケが抜けきっていませんが、本日より通常時間帯にて診察を始めさせていただきました。年明けは4日から診療を始めましたが、年末年始にかけて救急もなく穏やかな日々を送らせていただくことができました。そして新年早々嬉しいことが・・・。先月は何かと手術が立て込みましたが、その中でも椎間板ヘルニアのダックスフンドが自ら立ち上がり僅かではありますが歩く素振りを見せ始めてくれました。椎間板ヘルニア手術は術後すぐに結果が出るものばかりではない為、飼い主さんも不安だったと思いますが飼い主さんの嬉しそうな顔を見ることができ、実は飼い主さん以上に喜んでおります。それと年末ぎりぎりに膀胱結石の手術したワンちゃんも本日無事抜糸することができ、おしっこも快調に出ているとのこと。年始めから滑り出し良好といったところでしょうか。今年も嬉しいことが多い1年になるよう頑張っていこう。そしてこのホームページを訪れてくれた皆様にも嬉しいことがありますように・・・。それでは今年もよろしくお願いします。
良いお年をお迎えください
2007年も今日で終わり。昨日今年最後の手術を終え、何事もなく年末を迎えられそうです。お知らせにもありますが、31日から新年3日までお正月休みを頂いております。皆さん病気などないようお過ごしください。
どんだけ〜。
果たせなかった約束
つい先日、大学の同級生から珍しく携帯に連絡がありました。何か喜ばしい話かと電話に出てみたところ、それは全く逆の悲しい内容でした。自分たちが外科の研究室に所属していたときの2つ上の先輩が職場で倒れ、そのまま亡くなってしまったとのこと。病名は【心筋梗塞】。
その先輩とはその頃流行っていた《料理の鉄人》の話で盛りあがり、お互い就職してお金が貯まったら“道場六三郎のお店に食べに行こう”と約束していました。大学卒業後、自分が横浜のみなとよこはま動物病院(旧・永岡犬猫病院)に就職したときも、“そこは厳しい病院だそうだから,身体に気をつけなよ”なんて声を掛けてくれた優しい先輩。僕の知る限りたばこも酒もやっているような方ではなかったのにどうして・・・本当に残念で仕方がありません。道場六三郎の店には行くことができなかったけれど、いつか僕がそちらに逝ったその時はゆっくり飲みましょう。安らかにお眠りください。合掌。
PS.獣医に限らず医療に関わっている人達は、自分のことが後回しになってしまうのでしょうか。年齢も近い先輩が亡くなったことで、健康管理には気をつけなくてはいけないと痛感しました。