先日ある新聞で目にした【院内暴力】の記事。【院内暴力】と聞いて僕は‘医師による言葉の暴力などのドクターハラスメントのことかなぁ’と記事を良く読んでみると、驚いたことに患者さんから医師あるいは病院に対しての暴力についての内容でした。なかでもビックリしたのが聴診器で首を絞められた医師の話や、検査を依頼しその結果が何でもなかったから検査代金は払いたくないといった一方的な言い分であったり・・・。ちょっと前まではIC(インフォームド・コンセント)のあり方などで患者さんが弱者的な部分もあり医師からの暴力が話題になっていた時期もありましたが、立場が逆転した様な内容。どちらの記事も悲しくなるものです。医者としても患者としても、お互い尊重しあえるような関係を築き上げて行ければこのようなこともないのだろうに・・・。自分はどちらの立場にもいる人間なので医師としても、患者としても身だしなみには注意をしなければならないと思った記事でした。皆さんはどう思われますか?
明日から・・・。
11日の午後から12日にかけて長崎に行ってきます。とは言っても遊びに行くのではなく、みなとよこはま動物病院(旧・永岡犬猫病院)時代の同期が結婚するとのことで式に招待されたからです。彼とは病院に勤務したときから苦楽を共にし、寮も3年間一緒でした。自分が今の病院を改装オープンしたときも、休みを利用して栃木まで足を運んでくれました。
というわけで、お盆休みというわけではありませんが11日午後(土曜日)〜12日(日曜日)は休診とさせていただきます。週末でご不便をおかけするかとは思いますがよろしくお願いします。
PS.この時期の飛行機代ってすごく高いんですね・・・(涙)
安全で快適な手術を目指して。
身体にメスを入れるという事には出血がつきものです。出血量を抑えるために電気メスやレーザーメスを使用する手術は最近の獣医療でも当たり前のようになってきました。けれどこれらのメスでは皮膚を切開した際の出血はコントロールすることができますが、ある程度太さのある血管に対しては糸による結紮や金属製のクリップによって止血の操作を行わなければなりません。この操作が手術の内容(例えば脾臓の摘出)によっては大きく時間を割かれ、麻酔時間の延長につながります。止血の操作を簡便にし、手術時間の短縮に大きく貢献してくれるのがこの【VIO300D】です。通常の電気メス操作はもちろん、血管を止血するために行っていた結紮という作業をバイクランプという機能により安全かつ簡便に行うことができます。
ずらずらと書いてしまいましたが、この【VIO300D】は手術時間の短縮と体内に異物を残すことなく血管の結紮作業ができるという、手術を受ける患者さんにとっても術者にとっても有益な装置ということです。そして昨日、この【VIO300D】を導入することができました。これからはこの装置を使用することで様々な手術において迅速に対応することが可能となります。道具に負けないように手術の腕を磨かねばなりませんね。
皮膚の痒みに・・・。
湿気の多いムシムシとした日々が続きますが、こんな時期は健康な犬猫でも皮膚のトラブルに見舞われてしまうことがあります。日々皮膚を患っているペットの飼い主さんにとっては少しでも早くこんな時期が終わってほしいことかと思います。痒みの治療といったら様々な薬がありますが、“薬はちょっと・・・”という飼い主さんにお勧めなのがこの【イムロース】です。これはニゲロオリゴ糖を主成分とするサプリメントで体の免疫系に直接作用することで皮膚の痒みを軽減してくれるようです。当院でもアトピー性皮膚炎ということでずっと薬を服用していたゴールデン・レトリーバーに使用させてもらっていますが、かゆみ止めの薬を減らすことに成功しています。もちろん薬のような劇的な効果は望むことはできませんが、主成分がオリゴ糖ということで長期投与をしても副反応の心配は無いと言っていいかと思います。今まで色々なものを試してみた方もまず1ヶ月試してみてください。もしかしたら今までの何よりも効果があるかもしれませんから。
さらに進んだ医療へ
気がつけば7月に入り今日で11日も過ぎてしまいました。日々が過ぎるのはこんなにも早いなんて・・・。さて、7月1日はお休みを頂いて日本大学の外科会に参加して参りました。今回の外科会は日本大学付属動物病院増築のお披露目も兼ねていました。写真は手術前処置室ですが、人医の病院並みの施設で手術室もさらに立派なものに。もちろん外科的な施設ばかりではなくそのほかの施設も非常に充実し、自分もOBだからというわけではありませんが、自信を持って紹介させていただけます。そして7月5日はシェリングプラウアニマルヘルス主催の講習会&デンマーク大使館での懇親会に参加して参りました。参加されていた先生方も多く、戸塚で開業されている大先輩の布川先生とお話しすることもでき、非常に有意義な時間を過ごすことができました。参加されている先生の顔ぶれを見る限り、“まだまだ自分はひよっこだなぁ”と思う反面、さらに頑張ろうと思える数時間でした。
内容の濃いこの数日間。
またまた更新がおろそかになっていましたが、今月は手術やお産でハードな日々を過ごしていました。特に神経を使ったのは写真にもあるダックスのマイク君の手術でした。マイク君は以前、原因不明の呼吸器疾患を患っており“麻酔をかけて手術なんかとんでもない”と言った状態でした。その症状も落ち着きやっと普通の生活ができるようになり飼い主さんのひと安心かと思いきや、便が思うように出すことができない会陰ヘルニアになってしまったのです。しばらくは内科的な処置で対応していたのですがもう限界ということで手術に踏み切らせてもらいました。心配していた麻酔も問題なく行うことができ、術後の経過も良く今では普通に便をすることができるようになりました。他にも体重が1.5キロのヨークシャーテリアの大腿骨頭切除などありましたがおかげさまで無事に手術を行うことができました。1つ残念なことは23日が出産予定だったキャバリアが少し早く産気づいてしまい、自然分娩で生むことはできたのですが4頭のうち1頭が残念ながら亡くなってしまったこと。よく“犬は安産”なんて言われていましたがなかなかそうは行かないものです。気がつけば6月も終わり。来月も頑張ろう。
日本では考えられない。
先日ニュースで見たのですが、中国では狂犬病で亡くなった人が年々増え続けているということです。犬を飼ってはいるのだけれど狂犬病の予防ワクチンを接種していなかったり、犬に咬まれた際に適切な処置を受けないための結果だと報じられていましたが、驚いたのは次の内容でした。【狂犬病流行のため、犬を飼っているものは自らの手で自分の犬を処分すること。処分できない場合は罰金とする。】う〜ん、日本ではとても考えられないことですね。とはいえ狂犬病がないといわれている日本でも、ワクチンの接種率は50%程度と言われています。もし日本での狂犬病予防接種率が低下すればこのような状況になるやもしれません。大型犬〜小型犬に関わらず、狂犬病の予防接種はしっかり受けていただきたいものです。
梅雨入り前に
遅れているとはいえもうすぐ梅雨入り。雨が多くなるこの時期は足下が滑りやすく、特にタイル張りのフロアーでは濡れることでさらに滑りやすくなってしまいます。当院の入り口もタイル張りで雨の日には気をつけて上り下りしなければならなかったのですが、昨日の休診日を利用して滑り止め加工をしてもらいました。これで雨の日も安心して来院される患者さんを迎えることができるようになりました。とはいえ濡れた地面は乾いているときと同じという訳にはいきません。雨の日のお出かけは、足下に注意してくださいね。
せっかくの好意を・・・。
最近ある先生との話の中に、夜間救急でやってきた患者さんの話が出ました。ある夜の出来事だったらしいのですが、病院ではなく自宅のインターホンを鳴らされ“急患なので診てほしい。”と起こされたそうです。時間は深夜の2時。出てみるとその患者さんは今まで病院にかかったことのない初診の方のようでした。一通りの診察〜処置を終えさてお会計となったときに、その飼い主さんは急いでいたあまりお財布を忘れてきてしまい、お支払いは後日にということで連絡先を残し帰って行ったそうです。が、後日どころか料金を払いに来る気配もなく、残された連絡先に電話してみると今はお金がないから払えないというそうです。何らかの事情があるのなら説明してくれればいいのですが、その方は現在もお金を払いに来る気配すらないそうです。
これって店員さんがいる前で堂々と万引きしているようなもの、あるいは食堂で食い逃げしてきたのと同じ。はっきり言って犯罪でしょう。その先生も半分諦めているとのことですが、このようなことは断じて許すべきことではないでしょう。お金の問題ではなく人としてのモラルがあまりにも欠けている好意ではないでしょうか。最近は保育料を払わない方が多いというニュースも聞きますが、人として残念というか悲しくなってしまいませんか?
今更ですが、予防のすすめ。
ペットの健康管理のため、良質のフードを選んだり、サプリメントを飲ませたり、予防できるものはしっかりしたりなど飼い主の皆さんは何かと情報を収集し、日々研究されていることと思います。最近ある患者さんから“フィラリア予防薬はヒ素でできているんですか?もしそうなら飲ませたくないんですけど。”という質問をされました。現在予防薬として販売されているものはミクロフィラリアを予防するためのもので内寄生虫駆除薬として分類されています。成虫駆除薬として使用されているメラルソミンというものは確かにヒ素系のものとして分類されています。
何処で情報が混同してしまったのか判りませんが、毎月経口投与する予防薬にはヒ素など含まれていません。フィラリア抗原検査を受けて陰性であれば安心して使用していただけるものだと思います。獣医師があまりにも積極的に予防薬を勧めると“お金にがめつい先生ね!”と思われてしまうことがあるのですが、フィラリアは月に1回の投与で確実に予防できるものであり、何より予防が大切な病気です。是非予防していただくことをお勧めします。ちなみに2005年のデーターになりますが、日本糸状虫症研究会によりますと栃木県の犬フィラリア感染犬の頭数は1975頭確認されているそうです。怖いですね。