テレビのCMの関係でチワワが大変な人気です。その前にはミニチュアダックスフンド、さらに前にはゴールデン・レトリーバーと人気を呼ぶ犬種があるものです。それらの人気に踊らされてしまったのかどうかは解りませんが流行りの犬種を買い求められる方は多いと思います。ここでよく考えていただきたいのは流行りとはいえ“モノ”ではなく1つの“命”であるということ、さらには飼い始めれば食費、病気になればそれなりの医療費がかかるということです。最近は飼ったら飼いっぱなしという飼い主さんは見かけなくなりましたが、それに近い方も少なからず見かけることがあります。?n もしペットに癒しを求めるのであればそのペットが健やかに生活できてこそ我々が癒されるのであって、何もしてあげなければペットも病んでいきます。流行りや見栄、自己満足ために1つの命を粗末にしないであげてください。ペットは飼い主を選べないのですから。
脊椎の手術
昨日の晩、猫の脊椎手術に参加することができました。交通事故のため椎体(背骨の1個)が完全にずれてしまっているもので、病院に運ばれてきた段階ですでに脚やしっぽの感覚はなくなっていたのですがわずかな可能性に懸けての手術でしたが貴重な経験をすることができました。手術に誘ってくれた先生は脊椎の手術では有名な奈良県の中山正成先生の病院で勤務されていた先生で丁寧に説明してもらいながら手術を進めることができました。?n どんな症例(あるいは手術)でもいかにそれに携わっていたかということで、取り組み方も段取りも変わってきます。やはり経験にまさるものはないものですね。
開業までの道のり
昨日は休みを利用して大学からの友達に会ってきました。彼は動物病院を開院するために役所で書類を揃え、テナントのオーナーさんと交渉し、改装を請け負ってくれる設計事務所と工事の打ち合わせをし、医療器材業者さんと揃えるべき機器の交渉をしながら動物病院でアルバイトをしている。どんな世界でもそうなのであろうが華々しいオープンの陰には金銭的にも肉体的にも精神的にも大変な苦労があります。自分も3年前には彼ほどは苦労していませんが大変な時期がありました。患者さんにとってこのようなEntryはそんなに興味はないかもしれませんが、患者さんが求める病院のレベルにまで機材や設備を整えるのは非常に大変なことなんです。辛い時期を共に過ごした彼には是非とも成功してもらいたいものです。
紹介する勇気
人の病院だと“内視鏡検査は年間50症例”とか“心臓カテーテルによる手術は年間150症例”などどれだけ病院として症例をこなしているかということが明示されています。これによってもし自分が心臓病になったらこの病院にかかろう!という病院選びの情報が豊富になることは望ましいことです。けれども獣医さん選びはというと1番目の理由に“近所だから。”ついで“診療費が安いから”と続くようです。通常の健康診断やワクチン接種、フィラリア予防位ならばこれでよいのでしょうが、もし大手術が必要な病気になったときこれらの理由は当てはめることが難しいでしょう。各々の病院がこのような情報を明示することは難しいですが、自分の腕でまかなえるか否かということははっきり伝えるべきだと思います。大学を卒業して研修期間を何年間か行ったにしても出合ったことのない症例はあるはずです。難しい病気に対して努力していく姿勢は大切ですが、素直に経験者に助言を求めたり協力してもらうといった姿勢も私たち獣医師には必要だと思います。皆さんはどう思われます?
梅雨入り!
少々忙しいことを理由にEntryが1日おきのペースになりつつある今日この頃、関東地方も梅雨に入りました。湿度が高くなるこの時期、皮膚病を煩っている犬猫飼われている飼い主さんにとっては憂鬱なシーズンの到来ですよね。締め切った室内に洗濯物を干さなければいけない日々、こんな時カビによる皮膚病も起こりやすくなります。このカビによる皮膚病、決して犬猫だけのものではなく人にも感染してしまうんです。皮膚糸状菌症というのですが、人では写真のような皮膚炎を起こします。何か痒いからといって痒み止めの軟膏を塗っても治りません。このような皮膚炎が見られたらすぐに皮膚科に行ってくださいね!
理想的な体型を目指して
皆さんボディコンディションスコア(BSC)をご存じですか?これは犬猫の体型を5つに分類したものでBSC1〜5に分類されています。さて理想体重はというと体脂肪率が15〜24%で、肋骨を触ったときにわずかに脂肪に覆われたくらいの状態がよいようです。また体を上から見たときに腰のくびれがあれば理想体型と言えるでしょう。これはあくまで平均的なデーターの上での話なので全てがこれに当てはまるといったわけではありませんが、これに近づけることが望ましいでしょう。ここに日本ヒルズさんの資料にあるBCSの表を載せておきますのでよーく見てみてくださいね。?n [もっと読む…] about 理想的な体型を目指して
たかが毛玉、されど毛玉
2日はEntryをさぼってしまいましたが、実は手術のお手伝いに行っていたんです。猫の食欲が落ち痩せてきて、さらには下痢をしているとのこと。バリウム造影をしてみると腸の一部にバリウムの流れが悪いところが発見されました。飼い主さんの同意も得られたということで急遽、開腹手術になったわけですが怪しい部位にメスを入れて腸の中を探ってみると・・・綿布団のように毛玉が詰まり腸の内壁は真っ赤に充血していました。?n 猫の毛球症も毛玉を吐いているうちはまだ良いのでしょうが、少しずつ蓄積していくとこのように大変なことになってしまうんですね。食餌でも毛玉をたまりにくくするものがあるようです。特に長毛の猫を飼われている方は特に注意された方がいいですね!
季節の変わり目こそ
30度を超える異常に暑い日があったと思ったら、うって変わって過ごしやすい(ちょっと寒いくらい)この気温差。ヒトでもちょっと体調を崩している方もいらっしゃるのではないでしょうか?室内で飼われているペットでは温度を一定に保つことができるのでさほど体調を崩すことはないと思いますが、屋外で飼われているペット(特に8歳を過ぎた高齢のもの)では食欲不振を起こしたり、下痢をしている子もいるようです。?n 暑いなら暑い、寒いなら寒いと飼い主さんも温度管理には気を配りやすいですが、このような不安定な天候ではなかなか難しいものです。こんな時期こそいつも以上に(特に屋外にいる子)気を配ってあげてくださいね。
5月中のフィラリア検査結果
5月の初めより投与前に行っているフィラリアの抗原検査ですが、この1ヶ月でおよそ100頭近い検査を行わせていただいたが県南の患者さんの飼われている犬にフィラリア陽性の結果が出ました。さすがに宇都宮市内では予防薬の投与がうまくいっているのか陽性の結果が出ることはありませんでしたが、まだまだフィラリアがいなくなるということはないようです。このフィラリア陽性のワンちゃんには通常通り1ヶ月に1回の予防薬投与というわけにはいけません。?n 最近犬を飼い始めた方は勉強されてる方が多く、病院から提案する前にフィラリアのことを尋ねてこられる方が多いのですが、本当に知らないのか、“うちの子は平気だろう”ということでなのかは解りませんがいまだにフィラリア予防はおろかワクチンも接種していない方もいらっしゃいます。何度かEntry中でお話ししていますが犬猫の予防できる病気は限られています。予防することが可能な病気は積極的に予防してあげるべきではないでしょうか?
パグ脳炎
パグは愛嬌がある風貌で個人的には結構好きな犬種ですが、今までに1症例だけこの“パグ脳炎”に出合ったことがあります。その症状はというと同じ場所でぐるぐると回り、頭はどちらかの方向に傾きひどい場合には発作を起こし、そのまま昏睡状態になってしまうこともあります。症状だけみると前庭疾患に似ているところもありますが、症状がみられる年齢は生後9ヶ月から7歳位までの間と比較的若いうちに発症するようです。?n このようなEntryを書くとパグを飼われている飼い主さんは不安になってしまうかと思いますが、非常に珍しい病気であり遺伝性が疑われるものですから両親や兄弟にこの遺伝的因子を持っていなければ心配いりません。実際、完全にこの病気のことが解明されているわけではありませんが、“パグにはこのような病気があるんだ”ということを知っておいてくださいね。