下痢と一緒で、ペットを飼い始めて必ず経験する症状として嘔吐(もどすこと)があります。幼い頃では一気にフードを詰め込みすぎて嘔吐したり、長毛の猫ではセルフグルーミングをすることで毛玉を吐いたりと比較的症状の軽い嘔吐もあれば、異物を摂取したことや内臓のダメージからくる症状の重い嘔吐があります。特に異物の摂取は命に関わることがあります。?n 散歩するときも飼い主さんは2〜3歩先をよく見て、彼らが興味を持ち口の中に入れそうなものがないか注意してあげてください。家の中でも飲み込みそうな可能性のあるものは置いておかないことをお勧めします。“まさか!”ということが起きる前に・・・。
歯肉にできるもの
あまり歯磨きをしない犬猫では、歯石がたまることは珍しいことではありません。歯石の確認をするために口の中を見たとき、歯肉に写真のような腫瘍ができていることがあります。歯肉に見られる腫瘍にはいろいろなものがありますが、なかには非常に悪性度の高いものもあります。もちろん診察や検査をしてみないとわかりませんが、もし歯肉に気になる出来物を発見したら早めに病院に行かれることをお薦めします。早期発見ならば手術もさほど大げさなものになりませんから。(ちなみに写真の症例は病理検査の結果、良性のものでした。)
内視鏡手術
今日のニュースで話題だったのが内視鏡手術だったのでちょっとEntryしてみようと思います。人医療では小さな傷で負担も少ないということで頻繁に行われている手術ですが、獣医医療でも大学病院レベルでは内視鏡手術が行われています。私も横浜で勤務しているときには数症例の手術に参加させていただきました。やはり内視鏡手術の利点は小さい傷で済むということが最大の利点ではないでしょうか。?n [もっと読む…] about 内視鏡手術
動物に触れること
診察する上で1番大切なことではないでしょうか。何でも情報を提供することが大切な時代なので、血液検査やレントゲンを撮ることでデーターを得ることが出来ますが、こればかりに頼ってしまうのもどうかと思うのです。勤務医時代、後輩がろくに触診や聴診もしないうちに採血の準備をしていたことがありました。もちろん数多くの検査をすることで見落としや誤診をする可能性は低くなるでしょうが、来院されるたびに検査をされる動物や飼い主さんのことをどう思っているのでしょうか??n 私の父の時代の獣医医療はもっと五感を生かした診察だったと思います。特に動物の体に触れるということは、被毛の状態や脱水、尿がどの位溜まっているか、脾臓が腫れていないかなどの数多くの情報が手のひらを介して得られます。もちろんこれだけではいけないと思うのですが、診察室に入ったとたんに採血針を持ってしまうような診察はしたくないものです。
ウエスティーの角化症
ちょっとわかりにくいかもしれませんが、写真は角化症を起こしたウエスティーの下腹部のものです。ウエスティー遺伝的(まだ明らかではありませんが)に頸部から下腹部、あるいは四肢に重度の角化症を起こしやすいようです。この角化と同時に色素沈着や脱毛、掻痒がみられ2次的な感染症へと進行していきます。正直、この皮膚病は獣医泣かせなもので有効な治療法が確立していません。2次感染を起こさないように注意すること、角化を進行させないよう皮膚に尿素系のクリームを塗布してあげることなどが大切です。
交配を考えて
ご存じの方も多いかと思いますがアメリカには、OFA(Orthopedic Foundation for Animal)という遺伝性整形外科疾患(股関節形成不全や肘異形成など)の診断と登録を行い、繁殖することが可能か否かを診断してくれる団体があります。整形外科疾患に関わらず遺伝する可能性のある疾患は繁殖するべきではないでしょう。その疾患に関わるすべての動物およびその関係者(特に飼い主)に大きな精神的ダメージを与えかねないからです。?n 最近、神奈川県相模原市にある麻布大学の陰山先生が同様の組織を設立されたようです。これによって少しでも、国内の遺伝的整形外科疾患の患者さんが少なくなってくれると良いのですが。繁殖を考えられている飼い主さんで、少しでも不安がある方は是非獣医さんに相談するべきですよ!
流行の兆し
春一番が吹いたとはいえまだまだ寒い日が続いています。こんな時期には雄猫の“尿閉”が起きやすいようです。どうして起きるのかと言うと、トイレが汚れていることで長時間排尿を我慢してしまい、突発的な膀胱炎になることで血尿や尿石(砂)が2次的に起こりこれが尿道を塞いでしまうのです。あまりに早い時期に去勢をしてしまった雄猫では特に多く見られやすいんです。?n “尿閉”は様子を見過ぎてしまうと、腎臓の機能を失ってしまったり命に関わる状況に陥りやすい病気です。この時期は特にトイレの汚れや排尿量を良くチェックしてあげてください。
チョコレート中毒
今日はバレンタインデーというわけでチョコレート中毒のお話しを!これって犬猫にとってちゃんとした病名として存在する病気なんですよ。チョコレートの中に含まれる“メチルキサンチンアルカロイド”というものの過剰な摂取によって中毒症状を起こすものなのです。?n 摂取した量にもよるのですが重度な場合には死に至る場合もあるんです。だから“今日はバレンタインデーだからチョコあげるね〜”なんて事はしないでくださいね。
担当の先生
勤務医時代、ずっと診させてもらっていた患者さんに“実家の病院に戻るので3月いっぱいでお別れなんです。”とは話したときに必ずと言って良いほど“最後まで診てもらえないのは残念”という言葉でした。これって非常にありがたい言葉ですよね。大きな病院では何年かの周期で先生が入れ替わります。そうすると担当する先生も代わることがありますが、これが患者さんにとっては結構な不安材料になることがありますよね。けれども患者さんにとっては欠点ばかりではないと思います。?n [もっと読む…] about 担当の先生
今日は出張勉強会!
患者さんに“プロハンドラー”さんがいます。こちらに戻ってきて初めて聞いた職業のため最初は“どんな仕事なんだろう?”と思っていたのですが、Dog Showの会場に行きその仕事ぶりを見て“これはすごい世界だ!”が最初の感想でしたね。?n 今日は夜8時よりそこで働いているハンドラーさんを対象に勉強会を開く月なのです。身近な病気や預かっている犬を管理するにあたって注意して欲しいことなどをその月その月で題目を決めて勉強しています。皆さん非常に熱心なのでこちらも気が抜けません。けれどもこの勉強会がきっかけで日常のちょっとした事故が防げれば私としても幸いです。