どこかの予備校の校訓のようですが、医に関わっている人にとっては当たり前のことでしょう。獣医医療も日々進歩し、新しい薬、新しいワクチン、新しい手術方法がどんどん開発されています。それらの情報を知っていなければ治療方針を決めることや、仮に手に負えないときにどの専門病院に回すべきかということもわからないでしょう。
このインターネット時代、動物病院の情報やその治療内容、さらには薬やワクチンの副作用のことまで事細かに書かれているホームページがありました。獣医も日々漫然と生活していると飼い主さんからつっこまれてしまうくら獣医医療について触れているホームページがたくさんあります。私たち獣医師は常に新しい情報や技術を受け入れ、さらには自分の目指すところの専門分野に対しての造詣を深めるべく努力せねばならないと思った1日でした。
しつけもいろいろ・・・
病院にて治療や検査をするとき注射や採血を行います。その際私たち獣医はよく威嚇されたり不運にも咬まれることもあります。その時の飼い主さんの様子には二通りあるんですよね。まず1つ目の対応はすぐに叱る飼い主さん。その場合はペットの方の少し反省するのか以後の処置はおとなしく、次に来院されるときはだいぶ友好的になっていることもあります。もう一方の対応はペットは相変わらずこちらを威嚇しているにもかかわらず、“よくがまんしたね〜”とか“おりこうだったね〜”と誉めている飼い主さん。こうなると次の処置もままならなくなり、結局何もできなくなるケースもあります。
飼い主さんもおさえられないペットがたまに来院されます。そのようなとき“甘やかせすぎてしまって”という言葉を聞きます。正直飼い主さんにおさえの効かないペットを初対面に近い獣医におとなしく処置させてくれるかといったら??です。せめて叱るときにはしっかり叱り、誉めるときにはよく誉めるといった習慣をつけてほしいものです。
残すところ
2003年もあと1ヶ月になりました。blogという形式のホームページを始めてまる4ヶ月になり、県内外の方からコメントを頂き何とかやってきました。今年最後の1ヶ月、飼い主さんに少しでも役立つような情報を提供していけるようがんばっていきます。何か飼い主さんからのご要望があれば取り上げてEntryしたいと思いますのでよろしくお願いします。
ストレス性の・・・
人はストレス性の胃炎とか脱毛症というふうに診断されることがありますよね。それは先生と本人との間でいろいろな話をした上で“ストレス性〜”となるのですが、犬猫の場合だとなかなかこの診断をするのは難しいものです。引っ越したとか家族が増えたとか明らかに生活環境が変化した場合には飼い主さんからのお話で診断も可能なのですが、果たして犬猫が感じるストレスとはいったい何なのでしょうか?
末端部舐性皮膚炎といって手先・足先をひたすら舐めることで起きる皮膚病があります。これは別名神経性皮膚炎ともいわれるものなのですが、原因としてはストレスが関与しているとされています。最近しきりに足先を舐めている犬猫を飼われている飼い主さん、もしかしたら些細なことでもあなたのペットはストレスを感じているかもしれませんよ!
コロナウイルス
このウイルスは犬においても猫においても病原性を示すのですが、猫が感染してしまった場合は非常に厄介なウイルスです。猫を飼われている方なら1度は聞いたことがあると思うのですが、猫伝染性腹膜炎(FIP)というもので、発症してしまうと非常に死亡率が高いウイルス病の1つです。感染した場合の症状は様々なのですが特に目立つのが“腹水”です。太っているわけでもないのにお腹がぱんぱんになってしまい動くことすら辛い状態になってしまいます。
このFIPは予防ワクチンもまだ確立されていないので、いかに感染させないかが大切になります。感染は唾液や鼻水・糞便や尿を介して起きますので、多頭飼いの方で疑わしいと思われる子がいたならば速やかに診察を受けることをお勧めします。早期発見は感染蔓延を防止できる一番の方法ですから!
診療費の決め方
人と違い医療費や保険制度が確立していない獣医医療では、明確な診療費というものが定められていません。そんなわけで開業するときは近所の動物病院に電話をかけて市場調査をした後、自分の病院の診療費やワクチンなどの価格設定を行うわけなのです。ワクチンなどはメーカー側から“だいたいこのくらいの値段で”という提示価格があるのでそんなにばらつきは起きないのですが、診療費や処置料そして手術の値段はどうしてもばらつきがでてしまいます。
かといって量販の電気店のように極端に安いの値段で診療を行うことは、近所の病院にも迷惑をかけることになりひいては自分の首を絞めるような結果を招いてしまうことにもなりうるのです。患者さんにとって診療費が少しでも安くなることはうれしいことだと思いますし、それは私たちもわかっています。けれども規模の大きな病院は別として、診療費は病院同士微妙なバランスを持って決めていますのでご了承ください。
検査値のあれこれ
以前のEntryでも同じようなことを書いたと思いますが、同じデーターでも読み方が違えば病気も違います。血液の検査は年齢によっても食前と食後によっても数値は変わってきます。肝臓の機能を見るためのALKPというものも成長期の動物では高い値を示しますし、腎臓の機能を見るためのBUNというものも血糖値を見るGLUというものも食後では高い値を示すことがあります。日常生活の様子や身体の状況を見ないで血液検査の結果だけを読んでしまうと、病気でない子も病気にしてしまう可能性があります。
同じ病気でも年齢によって症状のでかたは異なります。患者さんの年齢や全身状態によって検査法や治療法も選択できるような広い視野をもって診療したいものですね!
膝の靱帯
人間と同じで犬猫の関節には“靱帯”と呼ばれる組織があり、関節を適度に安定させ動きをサポートしています。捻挫は靱帯が過度に伸ばしてしまったことで、関節の安定化を失いそこに炎症をともなって腫れたり痛みを起こしたりします。靱帯を伸ばしたくらいならばまだ良いのですが、太りすぎたり、老化によってもろくなったりすることで靱帯が切れてしまうことがあります。切れてしまった靱帯は縫い合わせたり、切れてしまった靱帯の代わりをする靱帯を再建する手術をしなければならないことがあります。
これから靱帯再建の手術を行いに友人の病院まで出かけてきます。どうやら前十字靱帯が切れてしまっているとのことでした。結構太っている犬とのことなので、手術よりも術後の管理をがんばってもらわなければいけなそうです。やはり太りすぎは良いことがありませんね!
申し訳ありません
本日は午後より大学の研究室の同期との集まりがあるため、私の診療は午前のみとさせていただきます。なお24日の診療は手術依頼のため夕方5時までとさせていただきます。このEntryをご覧頂いた当院の患者さん、ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします。
先入観という落とし穴
飼い主さんからの稟告からスタートする犬猫の診療は、正直獣医さん(自分も含め)に対して様々な先入観を持たせます。もちろん稟告だけで診察を終了することはないので、病気を見落としたりすることのないよう身体検査から始まり、必要があればさらに進んだ検査を行います。けれども獣医とはいえ人間、いくら修行を積んできたとはいえ少なからず先入観をもってしまうとそこから視点が離れなくなってしまうこともあります。
セカンドオピニオンといって、違った先生によって新たな病気の見方や考え方を得ることができます。自分は少しでも不安に思ったことはすぐに調べなおし、信頼のできる先生に相談するようにしています。そうすることで新たな治療方針を導き出し“落とし穴”にはまることなく診療を進めることができるからです。このインターネット時代、情報は満ちあふれています。先生には聞き難いけれど不安に思ったことはどんどん検索して調べてみることは大切ですよ!