猫のウイルス病というものは厄介である。特に母子感染(母猫の病気を子猫が引き継いでしまう)が成立してしまうケースが多く予防することすらできないことがあります。猫ウイルス性鼻気管炎・カリシウイルス感染症・猫パルボウイルス感染症・猫白血病はワクチンががあるので予防することが可能ですが、ワクチンが成立されていないウイルス病はいかに感染しないようにするかが大切で、有効な予防方法はありません。もし発症してしまった場合は症状を緩和させるような“対症療法”という方法で治療してゆくしかありません。
特におもてに出かける機会の多い猫を飼われている飼い主さん、“抗体検査”といってウイルス病に感染しているか、あるいは発症する可能性があるかどうかがわかる検査があります。少しでも体の状態を把握していれば発症を遅らせたりその症状を緩和させることも可能です。是非お受けになることをお勧めします!!
シーズンオフ!
だいぶ朝晩冷え込むようになってきました。フィラリア予防のシーズンもほとんどの地方の方が最後の月を迎えていることでしょう。けれども寒くなると“蚊も見えなくなったから今月はいいや!”と薬を飲ませなかったりしてしまう方も少なくないと思います。けれどもフィラリアの生活サイクルというものは特殊なもので、蚊に刺されたからすぐに症状が出るわけでもなく、検査で感染を検出できるわけではありません。
当院でもここ何年もフィラリアの予防をしていなかったにもかかわらず感染していなかった犬がいました。けれどもこれはほんとに“ラッキーだった”だけです。周りで犬を飼われている方の予防率が高かったということであり予防しなくても大丈夫ということではありません。あまりしつこく病院から予防薬を勧められると飼い主さんとしては不快に感じるかもしれません。けれどもフィラリアは先手を打てる病気であり、予防第一の病気です。皆さん忘れずに予防薬を飲ませてくださいね。
発作!
皆さん犬猫が“発作”を起こしている現場を目にしたことはありますか?発作とは脳の神経から自分では制御できないような電気的な放電が起こった結果引き起こされるものなのですが、発作を起こしているその様子は、本人も見ている飼い主にとっても辛いものです。発作を起こす原因には、中毒であったり、低血糖症であったり、水頭症が原因であったり、脳腫瘍が原因であったりと様々な原因があるのですが、明らかな原因もなく起こる“突発性てんかん”ほど厄介なものはないでしょう。(現時点では遺伝的要因が疑われている)
“発作”は繰り返すことで命をも脅かすこわい病気が隠れていることがあるます。ほんの数分の間に繰り返すような場合は様子を見ずにすぐにおかかりの病院に連絡して処置を受けましょう。
最近のペット事情
ペットショップやホームセンターで売られているペットには“代替え制度”というものがあるらしい。先天的な疾患や病気が発覚した場合には新しいペットに換えてくれるというものらしい。けれども発覚するころにはほとんどの飼い主さんの情が入っており、簡単に“交換します”と割り切れる方はほとんどいないのではないだろうか。もちろんこのようなケースがどの位の頻度で起こっているのは定かではないが、果たしてこの制度は飼い主にとってありがたい制度なのであろうか?
新しくペットを迎えようとしている方、人気のある犬種は購入前にいろいろな情報を仕入れ、信頼の置けるショップを見つけると良いかと思います。決して一目惚れで買ってしまうようなことがないように・・・!
口の中に入るものには・・・
ホントに要注意です!昨日お手伝いした手術も“碁石”をたくさん食べてしまったものでした。生後半年くらいから1歳になるまでの期間はこのような“誤飲”の事故が多く見られます。自分が過去に経験したのは軟式のテニスボールや茶筅、クマザサの葉などとても想像もつかないようなものを食べてしまうものなんです。吐かせることが可能な場合もあるのですが、数が多かったり、鋭利なものであったり、吐かせる過程で食道に詰まってしまう可能性がある場合には手術することになってしまいます。
この月齢のワンちゃんを一人にして出掛けるときには特にご注意ください。想像もつかないようなものをかじり始め細かくして飲み込んでしまう事があります。“うちの子は大丈夫だろう!”ということは通用しないことがあります。くれぐれも皆さんご注意を!
今日は・・・
これから救急の手術が入ってしまったので、Entryはお休みさせていただきます。
いろいろなデータ
言葉が話せない犬猫の診療では、血液検査やレントゲンなどいろいろな検査を行います。これらのデータは自分たちに膨大な情報を与えてくれますが、その反面診断を迷わせる情報を与えてくる場合もあります。特に血液検査では、若いときに高い値で示すものもあればそうでないものもあります。また食前と食後では測定値が変動するものもあります。異常な値はなくても犬猫の様子がおかしいときには検査には反映されない何かが潜んでいると考えなければなりません。
検査の値というものははあくまでも診断のうちの1つの情報で、100%検査に依存してしまっては大きな誤診を招いてしまう可能性もあります。“獣医師は常に病気(測定値)の一部ではなく全体を見渡せなければいけないな!”と思った一日でした。
ネブライゼーション
写真はネブライゼーション(噴霧療法)を行っているところです。人の喘息治療に用いられているものと同じです。当院では猫カゼ(FVR)による呼吸器症状の改善や、心臓病による乾燥した咳の症状緩和を目的としてこの治療を行っています。写真中の猫は慢性鼻炎を患っている子なのですが、この治療により霧状になった薬が深いところまで到達しているのか症状の改善が認められてきています。犬猫の病気も本当に多様化しています。良いと思われる治療はどんどん取り入れていくべきですよね!
3ヶ月・・・
blog形式のホームページをはじめて今日で3ヶ月になりました。まだホームページをご覧になって来院される患者さんは多くありませんが、これからも飼い主の皆さんにいろいろな情報を提供できるようにがんばっていきます!また私事ですが“日経ネットナビ”という雑誌に掲載されました。是非ご覧になってみてください。
特有の病気
犬でも猫でもそうなのですがその種類に特に見られやすい病気というものがあります。ゴールデンならば股関節形成不全だったり、ヨーキーならば大腿骨頭壊死症だったり、アメリカンショートヘアーだったら伝染性腹膜炎だったりと何かしらの病気になりやすい体質をもっているようです。もちろん必ずこれらの病気が見られるわけではありませんが、飼い主の皆さんが知らないことは多いようです。
本屋さんに並ぶ“〜の飼い方・育て方”で病気のことに触れているものもありますが、ほとんどのものでは種別による病気のことは書かれていないためペットとして家に迎え、病院に掛かりはじめて病気のことを知らされた方も多いかと思います。病気はもちろん避けて通りたいことですが、“その種類はここに気をつけた方が良い”という情報はもっとあった方がいいのではないかと思いますが皆さんはいかがですか?