腫瘍の治療をしていてると思うことだが“こんなにしつこく、油断ならない病気はないな!”ということです。特に血液の癌といわれる白血病や皮膚にみられる肥満細胞腫や乳腺癌などある程度の治療方法は確立されてはいるが、完治を宣言できるまでには並々以上の努力が必要となります。その並々以上の努力というものが“外科手術”であったり“抗ガン剤治療”であったり“放射線療法”であったりと治療効果も望めるが何らかの副作用もあり、関わっているものにとっては非常に選択を迷ってしまうこともあります。
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猫のエイズ
人と同じように猫の世界にも免疫不全ウイルス(FIV)があります。まだまだこの病気のことについてはわからないことが多いのですが、感染してしまった場合有効な治療法は確立されていませんし、予防ワクチンもまだ開発されていません。このためこの病気からの感染を免れるには感染している猫との接触を避けるしかありません。
感染の経路としてはケンカによる咬み傷からのものが一番多いため、おもてによく行く猫は病気を持っている猫と接触しているかもしれません。ちょっと不安に思われる方は病院で簡単に検査することができますのでおかかりの病院に尋ねてみるといいですよ!
もしお飼いになっている猫がエイズにかかっていたとしても、決してすぐに命の危険があるわけではありません。風邪を引かせないように大切に飼ってあげることで寿命を延ばしてあげることも可能です。(もしかしたら近い将来、特効薬が開発されるかもしれないですしね!)
風邪と思っていたら
10月に入ってだいぶ朝晩の気温も下がってきましたね。これから寒くなることで徐々に増えてゆく病気が、猫だと猫ウイルス性鼻気管炎(FVR)や尿閉(おしっこが詰まってしまう病気)、犬だと8歳すぎの小型犬にみられやすい心臓病でしょうか。このレントゲン写真は“僧帽弁閉鎖不全症”という心臓病のものです。この心臓病は初期症状として咳が頻繁にみられるようになり、ちょうどこの寒い時期と重なることで風邪と思われがちなのですが病院にいらっしゃる頃には症状が進行してしまっていることがあります。
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年をとれば・・・
食生活や飼育管理の向上で非常に長生きできる犬猫が増えてきました。それに伴って若い動物に対してのワクチンやフィラリア予防、避妊や去勢手術が主立った私たちの仕事も、老齢動物に対しての診察・治療が増えてきています。そのなかでもよくみられる症状として“骨関節炎”というものがあります。これは人の“腰が痛い”とか“膝が痛い”と同じもので、それを見分ける手段としては“以前よりも運動したがらなくなった”と飼い主さんが感じるようでしたらあなたのペットは“骨関節炎”になり始めているかもしれません。
“骨関節炎”は年齢とともに進行してゆく病気です。完治させることは難しいですが痛みをコントロール(飲み薬やレーザー治療)することで見違えるように行動的になります。太り気味の犬猫で“ちょっと疑わしいかな?”と思われた方は動物病院に相談してみると良いですよ!
なんとか・・・
blogを使ったホームページを開設して2ヶ月が経ちました。公のところに文章を書くにあたって今まで日常の臨床現場で気にしなかったことも、改めて調べなおしてみると発見があったり間違えに気づいたりと自分にとっても勉強になっています。またコメントでは皆様からの生の声を聞かせて頂くことで明日への励みになっています。
明日から10月、そしてホームページも3ヶ月目に突入します。これからも役立つ情報や獣医から飼い主さんへの本音のメッセージを提供できるようがんばっていきますので、皆様からのご意見や質問をお待ちしています。
原因は酵母菌!
なかなか治りにくい黒くベタベタした耳の汚れ、原因はマラセチアという酵母菌が原因のことがあります。ちょっと見た目にはただの外耳炎ぽいのですが、治療しているにもかかわらずなかなか効果がみられない場合にはこれを疑った方がいいかもしれません。ちょっと写真では見にくいかもしれませんが、この酵母菌はピーナツの様な形をしていますので動物病院で耳の汚れを染色して見せてもらうと発見できるかもしれません。
自分が経験したことがあるのはほとんど外耳炎としてですが、マラセチアは口の周りや指の間、肛門の周りに好んで住み着いているようです。なかなか頑固で判別しにくい皮膚病ですので、早めに鑑別診断をしてもらい適切なお薬を使うことで症状を抑えることができますよ!
老化について
人間が年をとっていくように犬猫も年をとっていきます。しかも人間の5倍近くの早さで年をとっていくので、昨年平気だったことでも今年になったら体に応えることもあります。身近なところでは食生活に現れてくると思います。いつも食べていたものなのに下痢を起こしてしまったり、しっかり食べているにもかかわらず痩せてきているなど、体が要求している栄養が1歳年をとっていくたびに変わっていくからです。
もちろん何らかの病気で痩せたり下痢をしている場合もありますから病院で診察を受けることが必要になりますが、広い意味では老化も病気の1つです。お飼いになっているペットが今何歳なのか、そして人間の年齢に換算すると何歳になっているのか計算してみてはいかがでしょう。以外と自分より年上になっていたりするものですよ!
さっぱりしたね!
15日に眼瞼内反症(逆さまつげ)の手術をしたゴールデンレトリバーが検診にいらっしゃいました。ついこの前まで涙でしょぼしょぼしていた目も術後の腫れも取れパッチリしました。大型犬種では逆さまつげも多いのですが反対の眼瞼外反症(目があかんべしたような状態のもの)も結構多いんですよ。どちらの状態でも目には悪影響(結膜炎や角膜損傷)を及ぼしてしまいます。もちろん目薬で状態を落ち着かせることも可能ですが、やはり重度なものに対しては手術してしまった方が経過は良いようです。
術後の経過が良好なこともうれしいですが、心配で曇りがちだった飼い主さんの笑顔がみれたことが何よりもうれしいですね!
絶対に治りますか?
患者さんとの会話のなかで患者さん側からこのコメントを頂くことがあります。患者さんとしては治ってほしいという一心でこのように聞かれているのだろうと思うのですが、獣医側とするとなかなか“はい、大丈夫ですよ!”とは言い切れないものなのです。もちろんちょっとした下痢や嘔吐ならば話は別ですが、重い心臓疾患や整形外科疾患では一度正常な状態のものから逸脱してしまった臓器や骨格がまるっきりもとの状態に戻るということはないのです。獣医的に言わせてもらうと、“日常生活をする上で正常な状態に近くすることならできます。”ということになります。
何か逃げ口上のように聞こえるかもしてませんが、これが本音であり事実だと思っています。だから“絶対に治らないなら治療しない。”なんてあきらめないで、少しでも症状を改善させてあげられるようにがんばってみませんか?治療してみないとわからないこともあるのですから。
万能薬ではありません
抗生物質と言うと万能薬のように思われている方も多いかと思いますが、飲み方や使い方を間違ってしまうと治る病気も治らなかったり、症状をひどくしてしまうこともあります。過去にあった経験では、下痢なので薬を飲ませていたのですが全然治らないと言う患者さんがいらっしゃいました。飲んでいた薬を見せてもらうと抗生物質でした。下痢に限っていうと、便のなかにいるとひどい下痢を起こしてしまう細菌がいた場合その細菌に対して効果がある抗生物質を飲ませますが、それ以外の時には整腸剤(ビオフェフミンのようなもの)による治療のほうが効果があると思います。
動物病院でもらった薬が残っているから飲ませて様子を見てしまう方がいらっしゃいますが、症状によって薬を選んでいます。“これは抗生物質だからだいじょうぶだろう”と飲ませてしまう前に、かかりつけの先生にちょっと確認してみてはいかがでしょう。