昨日インターネットを見ているとこんな記事がありました。【ペットの診療費踏み倒し横行 人間と違い保険効かないから?】その内容は虚しくなってくることばかりです。タイトルには〝とうとう〟と付けましたが、身近な先生との話にはこの話題がちらほら出てはいました(当院にも入院費や検査代を払っていただけない患者さんがいました)。気になった内容としては【治らなかった病気の治療費は払いません】というものでした。ここはインフォームドコンセントの問題かもしれませんが、診断〜治療する過程には必ず何らかの費用がかかるのは当然のこと。保険が利かない分、料金に差があるにしても治らないなら料金は払いませんとはなんと勝手な言い分でしょう。獣医よりのコメントになってしまいますが、より確実な診断や処置をするために高額な器機を導入することは決して容易なことではありません。一方では十分な診断〜治療が受けられなかったということで重大な問題が生じ裁判になっている事例もあります。このようなことが増えていけばその地域における獣医医療の向上も望めないのではと思います。病院(医師)と患者さんとの信頼関係、これこそが今必要なことなのかもしれませんね。
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獣医は何でもできなくちゃ。
前回からのEntryからだいぶ間が空いてしまいました。5月は狂犬病の予防接種やフィラリアの予防も始まることから診療で手一杯になってしまい、ネットすら開くことができないような状態でした。そんな5月ですが、今年は有り難いことに例年を上回って手術や麻酔処置の予約を受けてしまい多忙な日々(自分でいうのもなんですが)を過ごしております。タイトルにもありますように獣医ってホントオールラウンドプレイヤーだなぁと思います。今月は産科としては猫の堕胎手術が続き、パピヨンの胎盤剥離による緊急帝王切開、整形外科としては膝蓋骨脱臼の整復術、骨折整復後のギブスの巻き替え、大腿骨骨頭切除術、そして歯石除去。なかでも少しずつ整形外科の処置が増えてきていることは、自分としても得意分野としてやっていきたいところなので嬉しい限りです。専門分野を極めることは到底大変なことですが、こつこつ努力を積んでいくことで将来大きなものを得ることができればいいなぁと思っています。このblogも間隔が空いてもしっかり更新しなくては・・・。
師の背中、遙か遠し。
昨日は木曜日の休診日を利用して、自分には手に負えない症例(前肢の骨格異常→橈骨形成異常?)の手術してもらいにみなとよこはま動物病院にいってきました。ただ永岡先生が手術するのを見るだけでは身にならないので、自分が持っている技術で手術するならばということシミュレーションして挑ましてもらったのですが・・・。目から鱗が落ちるというか、整形外科を知り尽くした人だからこそできる技術をみせてもらいました。手術前には著しく湾曲していた前肢が、術後にはほぼ正常な形態になっていました。自分なりに参考書を読んでシミュレーションしていったことがいかにレベルの低いものか、そして参考書の手技がいかに遅れているかということをまじまじと思い知ってきました。
手術が終わったあとに永岡先生に“反対足は自分でやってみな”といわれましたが、これは“手先が器用なだけでは到底できるものではないぞ!”といわれているような気がしました。マラソンでいったら永岡先生は既にゴールのテープを切ろうとしているところで、私はまだスタートもできていないような・・・。まだまだ自己研鑽が必要だ。頑張らなくては。
最近、ガンが多いなぁ。
今年に入って脾臓をとる手術が3件続き、その全ての検査結果がガン系のものでした。そして昨日ある先生のところで行った手術も明らかにガンと思われるものでした。自分の伯父や父が第一線で仕事をしていたときには、診断がつかなかっただけなのかもしれませんがこんなにもガンは多くなかったような気がします。昔から変わらない病気もあれば、診断技術が向上したことにより判るようになった病気。特にガンは犬猫の生活様式が変わったことによって増えてきたような気がします。
犬猫では明らかではありませんが、人間は2人に1人の割合でガンになる可能性があるという記事を何かで読んだことがあります。たばこやお酒をやらない人がガンになったという話を聞いたこともあります。健康に気をつけていてもガンはいつ襲いかかってきても不思議ではないようです。やはり早期発見・早期治療が何よりの防衛策なのでしょうか?なんにせよ、ガンは嫌な病気ですね。
今年に入って3件目の・・・。
先週の金曜日脾臓摘出術を行いました。13歳のラブラドールが急に倒れ、何処かわからないけれど痛そうにしているということで来院されました。血液検査してみるとHt値が16%、エコーでは脾臓から連続した腫瘍が確認されました。何かのきっかけで脾臓にできた腫瘍から出血が起こり倒れたのでしょう。すぐに手術をしたかったのですが、ちょっと動くと倒れてしまうような状態だったのでたっぷりと点滴し、乾燥プラズマによる成分輸血を行い手術に挑みました。高齢で危険を伴う手術でしたが、無事に終えることができ高齢とは思えないほどの回復力で元気になっています。とはいえ病理検査の結果次第ではさらなる治療が必要です。今年に入って行っている同手術の検査結果はどれもよくないものでした。今回は・・・悪性でないことを願うばかりです。
安かろう悪かろう・・・petshopの資質。
2006年6月に改正動物愛護管理法が施行されました。それでも国民生活センターには購入したペットについて1000件を超える相談が寄せられていると言うことです。決してこれは他人事ではなく身近で起きていることだなぁと実感する出来事がありました。1件目は陰睾丸のフレンチブルドッグ。購入する際はなんの説明もなく、当院で2度目のワクチンを接種する際に発覚しました。陰睾丸は放置しておくとお腹の中にある睾丸が癌化することもあるため手術をしなければなりません。2件目は気管虚脱のチワワ。購入する際、咳をしていたのだけれど『風邪だから薬を飲んでいれば大丈夫』とのことで購入したが症状は変わらず、レントゲンを撮ってみたら病気が発覚。店側の対応は『交換させていただきます』とだけ。3件目は写真の前肢骨格異常のミニチュアダックス。やはり購入時にはなんの説明もなく、帰ってきてから歩き方をみていたら変だと言うことで来院。現在は痛みはなく元気に歩いてはいますが、将来的には関節炎になる可能性があります。この3件の事例はすべて同一ショップから販売されたペットの話です。 [もっと読む…] about 安かろう悪かろう・・・petshopの資質。
どの方法でいくか・・・。
先日、チワワの膝蓋骨脱臼の手術を行いました。膝蓋骨脱臼を起こしているということは触診やレントゲンで診断することが出来ますが、いざ手術ということになるとどの方法でいったら良いか考えてしまうことがあります。この前、久しぶりにみなとよこはま動物病院に行くと、永岡勝好先生が膝蓋骨脱臼の手術をするということで拝見させていただきました。同体で同じ脱臼とはいえ右足と左足では手術内容も異なるのは当然なのですが、自分が勤務していた頃とは手術方法も更に進歩していました。同じ脱臼だからといってこの方法といった定番が必ずしも存在しない膝蓋骨脱臼の整復手術。改めて膝関節外科の奥深さを垣間見てきました。そんなことを踏まえながら今回挑んだ手術、右足は大腿四頭筋と膝蓋骨を支えている靱帯のアライメントを整えること脱臼をコントロール、左足はこれらだけでは不十分だったため再度手術を行いスクリューを1本うつことで脱臼をコントロール出来たようです。整形外科(特に関節外科)は術後のリハビリが大切なことをお話しし、昨日退院に至りました。スクリューをうった方の足に少々挙上が残っていますがこれからしっかり経過を観察していきたいと思っています。
ひげ先生、来院。
やはり困る〜未受診妊犬
気がついたら2月7日。早いもので1年のうちもう1ヶ月が過ぎてしまいました。先日の新聞で未受診妊婦の記事があり、だいぶ問題になっているようですが“これって犬にもいえることだよなぁ〜”と思いEntryさせていただいています。これだけ多種多様な犬種が出回っている世の中、【犬は安産】と言われていたのは通用しなくなっています。特に人気のチワワ、ちょっと前ですがドラマに起用されたことで人気のパグ、最近人気が出つつあるフレンチブル。どれも短頭種に分類されるものでほとんどの場合お産には何らかの形で人の手助けが必要となります。妊婦さんほど検診の必要はありませんが、せめて何頭お腹の中にいるのか、産道と胎児の頭の大きさを比較して自然分娩が可能かどうかくらいは事前に知っていきたいものです。
当院では交配したと思われる日から約40〜45日位に一度超音波の検査、そして交配した日から55日位にレントゲンの検査を行っています。こうすることでお産をスムーズに進めることができるからです。動物病院としても一番困るのはやはり駆け込みお産です。お産をさせたい、あるいはお産になるかも知れないと思ったらどうか一度病院での検診を受けてください。
手術をやるからには。
近所の先生の所に手術をしにいったときの話。他の動物病院で骨折の手術を行い骨プレートを除去した後に再骨折をしたようなのですが、手術した病院に駆け込んだところ “うちではもう手術はできません。あとは副木をあてて固まるのを待ちましょう” と、ここまではまぁ許せるのですが “もし骨が固まらないようなら足を切るようになるかもしれません” 患者さんはびっくりして、こちらの病院に駆け込んできたようです。又聞きの話ですから最初の先生がどのようなニュアンスでこのような話をしたのかはわかりませんが、足を切ると言われた飼い主そしてその犬の将来のことを考えたら簡単にこんなことを言うことはできないと思うのですが・・・。 [もっと読む…] about 手術をやるからには。