またまた更新がおろそかになっていましたが、今月は手術やお産でハードな日々を過ごしていました。特に神経を使ったのは写真にもあるダックスのマイク君の手術でした。マイク君は以前、原因不明の呼吸器疾患を患っており“麻酔をかけて手術なんかとんでもない”と言った状態でした。その症状も落ち着きやっと普通の生活ができるようになり飼い主さんのひと安心かと思いきや、便が思うように出すことができない会陰ヘルニアになってしまったのです。しばらくは内科的な処置で対応していたのですがもう限界ということで手術に踏み切らせてもらいました。心配していた麻酔も問題なく行うことができ、術後の経過も良く今では普通に便をすることができるようになりました。他にも体重が1.5キロのヨークシャーテリアの大腿骨頭切除などありましたがおかげさまで無事に手術を行うことができました。1つ残念なことは23日が出産予定だったキャバリアが少し早く産気づいてしまい、自然分娩で生むことはできたのですが4頭のうち1頭が残念ながら亡くなってしまったこと。よく“犬は安産”なんて言われていましたがなかなかそうは行かないものです。気がつけば6月も終わり。来月も頑張ろう。
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日本では考えられない。
先日ニュースで見たのですが、中国では狂犬病で亡くなった人が年々増え続けているということです。犬を飼ってはいるのだけれど狂犬病の予防ワクチンを接種していなかったり、犬に咬まれた際に適切な処置を受けないための結果だと報じられていましたが、驚いたのは次の内容でした。【狂犬病流行のため、犬を飼っているものは自らの手で自分の犬を処分すること。処分できない場合は罰金とする。】う〜ん、日本ではとても考えられないことですね。とはいえ狂犬病がないといわれている日本でも、ワクチンの接種率は50%程度と言われています。もし日本での狂犬病予防接種率が低下すればこのような状況になるやもしれません。大型犬〜小型犬に関わらず、狂犬病の予防接種はしっかり受けていただきたいものです。
梅雨入り前に
遅れているとはいえもうすぐ梅雨入り。雨が多くなるこの時期は足下が滑りやすく、特にタイル張りのフロアーでは濡れることでさらに滑りやすくなってしまいます。当院の入り口もタイル張りで雨の日には気をつけて上り下りしなければならなかったのですが、昨日の休診日を利用して滑り止め加工をしてもらいました。これで雨の日も安心して来院される患者さんを迎えることができるようになりました。とはいえ濡れた地面は乾いているときと同じという訳にはいきません。雨の日のお出かけは、足下に注意してくださいね。
せっかくの好意を・・・。
最近ある先生との話の中に、夜間救急でやってきた患者さんの話が出ました。ある夜の出来事だったらしいのですが、病院ではなく自宅のインターホンを鳴らされ“急患なので診てほしい。”と起こされたそうです。時間は深夜の2時。出てみるとその患者さんは今まで病院にかかったことのない初診の方のようでした。一通りの診察〜処置を終えさてお会計となったときに、その飼い主さんは急いでいたあまりお財布を忘れてきてしまい、お支払いは後日にということで連絡先を残し帰って行ったそうです。が、後日どころか料金を払いに来る気配もなく、残された連絡先に電話してみると今はお金がないから払えないというそうです。何らかの事情があるのなら説明してくれればいいのですが、その方は現在もお金を払いに来る気配すらないそうです。
これって店員さんがいる前で堂々と万引きしているようなもの、あるいは食堂で食い逃げしてきたのと同じ。はっきり言って犯罪でしょう。その先生も半分諦めているとのことですが、このようなことは断じて許すべきことではないでしょう。お金の問題ではなく人としてのモラルがあまりにも欠けている好意ではないでしょうか。最近は保育料を払わない方が多いというニュースも聞きますが、人として残念というか悲しくなってしまいませんか?
今更ですが、予防のすすめ。
ペットの健康管理のため、良質のフードを選んだり、サプリメントを飲ませたり、予防できるものはしっかりしたりなど飼い主の皆さんは何かと情報を収集し、日々研究されていることと思います。最近ある患者さんから“フィラリア予防薬はヒ素でできているんですか?もしそうなら飲ませたくないんですけど。”という質問をされました。現在予防薬として販売されているものはミクロフィラリアを予防するためのもので内寄生虫駆除薬として分類されています。成虫駆除薬として使用されているメラルソミンというものは確かにヒ素系のものとして分類されています。
何処で情報が混同してしまったのか判りませんが、毎月経口投与する予防薬にはヒ素など含まれていません。フィラリア抗原検査を受けて陰性であれば安心して使用していただけるものだと思います。獣医師があまりにも積極的に予防薬を勧めると“お金にがめつい先生ね!”と思われてしまうことがあるのですが、フィラリアは月に1回の投与で確実に予防できるものであり、何より予防が大切な病気です。是非予防していただくことをお勧めします。ちなみに2005年のデーターになりますが、日本糸状虫症研究会によりますと栃木県の犬フィラリア感染犬の頭数は1975頭確認されているそうです。怖いですね。
雨の最終日
今日でゴールデンウィークも終わり。皆さんはペットと一緒に楽しいお休みを過ごすことができましたか?毎年お休みの後半になると体調を壊して来院されるペットが多いのですが、今年は比較的、平穏無事な日々を過ごすことができました。とはいってもゴールデンウィーク前半に骨折で来院したトイ・プードルがいたり、寒暖の差があったせいなのか尿閉になった猫がいたりと一時的に入院が増えた日もありました。現在6日の午後3時半、今日はこのまま何事もなく終わりそうです。明日から皆さんもお仕事が始まるかと思います。穏やかなゴールデンウィーク最終日をお過ごしくださいね。
春は出会いと別れの季節?
またまた更新がおるすになってしまいました。4月は新年度ということで新入社員の方が頑張っていることかと思いますが、当院にも診療を補助してくれるお手伝いさん(AHT)を迎えることができました。犬猫に対して非常に優しく接してくれるため、診療もスムーズに行うことができるようになりました。まだまだ不慣れな点もありますが仕事の飲み込みが早いのでこれから期待大です。しかし、タイトルにもあるように春は嬉しいことばかりではなく悲しく残念なこともありました。13歳になるコリーと14歳になるシェルティーがお亡くなりになりました。コリーは変形性脊椎症で歩くことが困難になり、最近では寝ていることが多く食餌も思ったように摂れなくなってきていました。点滴をすると一時的には良くなるのですがやはり老化にはかなわなかったようです。シェルティーは慢性の肝臓病で飼い主さん手作りの療養食と病院からの薬でだいぶ検査値も落ち着いてきたところでの出来事だっただけに非常に残念でした。嬉しいことも悲しいこともありましたが、新人さんを迎えたことでパワーアップした診療ができるよう心懸けていこうと思っています。
予防薬にもジェネリックが・・・
もうすぐフィラリア予防のシーズンがやってきます。今年はさくらの開花予想も早かった位ですからフィラリアを初めとした予防対策は少し早めに開始した方がいいのかもしれません。さて皆さんは去年病院でもらったフィラリア予防薬の名前は覚えていますか?どうしてこのようなことを書いているかというと、今年はフィラリア予防薬にも多くのジェネリック製品が参入してきているからです。錠剤のミルベマイシンオキシム(ミルベマイシンA)についてはまだ特許が切れていない関係でジェネリック製品は発売されていませんが、イベルメクチンを主成分とした予防薬はカルドメック錠あるいはカルドメックチュアブルを先行品として様々なメーカーがジェネリック製品を発売してきました。そして今年はチュアブルタイプの予防薬が数社から発売されます。が、残念なことにチュアブルタイプの予防薬は先行品とほとんど価格差がありませんでした。先行品はどうしても価格が高めの設定になってしまいますが、ジェネリック製品はお手頃価格で提供できるものがほとんどかと思います。病院によって価格の設定は異なりますが、ジェネリック予防薬によって出費を抑えることも可能です。興味を持たれた方はおかかりの病院に相談してはいかがでしょう。
皮膚病知らずの体を目指して。
人にも体質があるように、犬種によっても皮膚がベタ付く子もいればカサカサしてしまう子もいます。それらの体質にあわせてシャンプーの種類も数多く存在します。写真のパグもアトピーということで当院に来院されましたが、月に1回のジャグジー薬浴のみで現在は良好な皮膚の状態を保っています。当初は処方食や薬用シャンプー・サプリメントなどで治療を行っていたのですが思ったような改善はなく思い切って薬浴のみにしたら不思議と落ち着いてしまいました。皮膚の治療にはこれといった定番はなかなか見つけられません。この子に良かったからといって他の子で試してみるとかえって悪くしてしまうものもあります。シャンプー・フード・薬・サプリメントどれをとっても同じかと思います。使ってみて効果がみられない(あるいは悪くなった)場合は速やかに使用をやめておかかりの先生に相談してみましょう。少しでも早く突破口が見つかるように・・・。
術後の咳き込み
犬猫の手術も人の手術と同様に、気管を確保(気管チューブを挿管)して行うことが一般的かと思います。気管を確保して手術することは安全な手術を行うためには必要不可欠なものなのですが、ある程度のコシの強さを持ったビニール製(あるいはシリコン製)の管を気管内に挿入しますから、若干気管を痛めてしまうことがあります。気管チューブも気管に対して太すぎても細すぎてもいけません。ちょうど良いサイズの気管チューブを挿管することが出来れば気管を痛めることなく麻酔を掛けることが出来ます。もう一つの問題としては吸入麻酔薬による粘膜刺激の関係があるかと思います。今使用されている吸入麻酔薬はほとんどのものが粘膜刺激性が低いものですが、それに反応してしまうと咳のような症状が出ても不思議ではありません。そして最後に年齢の問題があります。年をとってくれば気管を構成している軟骨も柔軟性を失うため硬くなっています。そこに気管チューブを入れれば気管を痛めてしまう可能性は高くなります。
術後の咳き込みは以上のような原因で起きうることですが、抗生物質や鎮咳薬などを適切に使用することで症状の改善することができます。あまりにも酷く咳き込むようでしたら手術を受けた病院の先生に相談してみてくださいね。