皆さんはタイトルにある言葉をご存じでしょうか?これはある集団が一定レベルで免疫状態を維持しておくことで、万が一病気が発生したとしても蔓延を予防することができるというものです。今回この話題に触れたのは、最近新聞で取り上げられている狂犬病予防ワクチンの接種率低下について飼い主の皆さんに考えて頂きたかったからです。現在の日本では狂犬病の発生もなく過去の病気のように思われていますが、世界レベルで見ると発生していない国を数える方が早いくらいです。そんななか、“うちの犬はおもてに出さないから”といった理由でワクチン接種をされない飼い主さんが増えてきているようです。日本における狂犬病予防接種率はまだまだ充分なものではありません。狂犬病は発症してしまってからでは手の打ちようがないため予防第一の病気です。みなさん、積極的に狂犬病予防接種をうけてください。
normal
恐るべき生命力
犬ニキビダニによる皮膚病は獣医医療のなかでも難治性のものだということは皆さんご存じのことかと思います。けれども犬ニキビダニは健康な犬の皮膚にも観察されるもので、それが遺伝的あるいは免疫的に異常を起こした場合に増殖することで皮膚に病変を起こす非常に厄介なものなのです。最近ある患者さんのスクラッチ検査をし、そのスライドグラス上でニキビダニがどの位生きていられるのか観察してみたのですが・・・。 [もっと読む…] about 恐るべき生命力
セカンド・オピニオン
最近話題のセカンド・オピニオンですが、する側も求める側も注意しなければいけないと思う記事が本日の朝刊に掲載されていました。セカンド・オピニオンは様々な視点で病気を見ることで新たな治療の方向性を見いだすこともできれば、病状よっては希望の芽を摘んでしまうものにもなりかねません。医師としては患者さんがセカンド・オピニオンを希望されたら快く受け入れるべきであって、決して不快な態度や冷たい言葉を発し患者さんを突き放すようなことはあってはならないことでしょう。反対に患者さん側も何も言わずに転院してしまうのでなく、なかなか提案しにくいことだと思いますが、ひとこと主治医としている先生に声をかけてみてはいかがでしょうか?何とかしてあげたいという気持ちはどんな飼い主さんも一緒、理解できないことではありません。セカンド・オピニオンの申し出を素直に受け入れられるか否かで医師としての資質が問われるような気がします。自分の診断・治療が正しかったかどうかを知るため、そしてレベルアップするためにもセカンド・オピニオンって必要じゃないかと思います。
その人の評価は・・・
最近のテレビ番組に病院選びをテーマにした内容が多く見られます。人の病院の話ではありますが、動物病院にも充分当てはまることもあり非常に参考になります。最先端の技術や設備の紹介もさることながら、最も興味深かったのは“このような先生(病院)には気をつけよう”といった内容でした。その一例に“私(当院)に任せておけば大丈夫。この症例(手術)に関しては誰より私(当院)が一番だから・・・”というものがありました。 [もっと読む…] about その人の評価は・・・
耳ダニ症
先日、ちょうど1年前にポメラニアンを病気のため亡くした飼い主さんが、新たにポメラニアンを飼ったということで来院してくれました。ブリーダーさんからいただいてきたばかりということで、簡単なボディーチェックをしてみたのですが耳には黒褐色のかさついた耳垢が。念のため顕微鏡で見てみると私も久しぶりにお目にかかる“耳ダニ”がごそごそ動き回っていました。ちょっと前でしたら耳ダニの治療といったら耳の掃除にイベルメクチンの投与が一般的でしたが、現在はセラメクチンというスポットタイプの薬(レボリューション)によって簡単に治療することができます。これは犬猫どちらにも使用できるものなので耳ダニ予防にいかがでしょう。
尿のph
以前血液ガスというEntryで血液における酸・塩基平衡についてお話ししたかと思いますが、身体の酸・塩基平衡をもっと手軽に測定する方法として試験紙による尿検査があります。もちろん精度的には血液による測定にはかなわないのですが、日常の検診的な測定としては尿のphで充分ではないかと思っています。それでは一般に尿のphはどの位のに保たれているのかというとph5.5〜7.0(平均値6.4)に保たれているのが望ましいとされています。このバランスが崩れると尿石症を発症しやすい状態になりやすく、飼い主さんも獣医師も最も多く遭遇するものが“ストルバイト”ではないかと思います。この尿石症を発症してしまう原因に尿phのアルカリ化があります。日頃の食生活を改善するだけで弱酸性の体をつくり、尿のアルカリ化を防ぐだけで尿石症になりにくい体質を作ることができます。ペットの通販で尿のph試験紙は手にはいるようですので、気になる飼い主さんはcheckしてみてくださいね。
平和なG.Wを・・・。
G.Wも残すところ今日を入れて2日。皆さん何事もなく楽しくすごされているでしょうか?動物病院によっては3日〜5日と連休をとっていたところもあるかと思いますが、連休をとる時って内心は“急患がなければいいなー”というのが本音じゃないかと思います。当院は4日(木曜日)は休診日のためお休みをいただきましたが、3日と5日は診療時間を短縮して診療していたのですが、今年のG.Wも大きな急患もなく平和な時間を過ごすことができました。とわいえ休み疲れも出やすいG.W後半、皆さん怪我や急患にならないようにお過ごしください。尚、当院は今日から通常通りの診察時間にて診療しております。
デジタルの時代
レントゲン撮影というと、撮影したフィルムを現像しシャーカステン(現像したレントゲンを見るための照明器)で読影(診断)するというのが主流でした。ところが最近ではこの現像もデジタル処理することによりフィルムではなく画面で見ることができ、1cm位の撮影部位も何十倍にも拡大して観察することができるようになりました。これはCR(コンピューテッド・ラジオグラフィー)というもので、従来のレントゲン撮影で費やしていた時間やコスト・撮影ミスを無くすことができる素晴らしい器械です。当院も予てから念願だったこの器械を導入することができました。 [もっと読む…] about デジタルの時代
何の罪もないのに・・・
本日の新聞記事に【アイフル余波?チワワ値下がり。】とありました。クーちゃん効果で一時は60万円という値段が付いたというチワワですが、事件後の今では15万円前後だということです。どんな業界にも流行というものがありますが、あれだけもてはやされたチワワが、宣伝で使っていた業者の不祥事によって人気に陰りが出てしまうという世の中。ちょっと怖いような、寂しいような気がしませんか?
麻薬を使うための免許
ケタミンという麻酔薬が麻薬に指定されることは以前Entryしたとおりなのですが、獣医師もケタミンを使用する場合麻薬施用者免許というものが必要になります。今回のことがなければ、日々の診療には麻薬施用者免許のことなど考えてもみなかったことでしたが、手術をする際の麻酔にケタミンはどうしても必要です。もちろん麻酔薬はケタミン以外にも何種類かあるのですが、使い慣れた麻酔方法から新たに別の方法となると躊躇してしまう先生も少なくないでしょうし、私もその一人です。というわけで、私も免許の申請に行ってきました。免許が発行されればケタミンが正式に麻薬指定された後も変わりなくケタミンを扱うことができます。が、もし免許を申請しなかったとするとケタミンを使用することはおろか、所持していたということでいくら獣医師といえども逮捕されてしまいます。また、一部の飼い主さんから“麻酔料が高くなるのでは?”とご相談を受けたことがありましたが、麻薬指定後にケタミンの価格が変わるかどうかという情報は入ってきていません。法律が施行されるのは今年10月から来年の1月位の予定とのこと。これからの動向を落ち着いて見守っていきましょう。