本日の読売新聞の記事の見出しですが、環境省が2017年度までに捨て犬や猫を半減させるべく【動物愛護管理基本指針】に取り組むようです。この記事で驚いたのが、これだけペットブームといわれている現在でも捨てられたり迷子になるなどして保険所に引き取られた犬は18万2000匹・猫は23万9000匹。そしてこの9割以上が殺処分されているということです。捨てられたペットの問題は今までも様々なメディアが取り上げてますが、それでもいっこうに減らないのはどこかに問題があるのでしょう。行政ができること・販売業者ができること・動物病院ができること・そしてそれぞれの飼い主(あるいはこれからペットを飼おうとしている方)ができること、全てがかみあわないことにはこの問題を解決することは難しそうです。みなさん力を合わせて『半減』ではなく『ゼロ』を目指していきましょう。
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骨盤骨折
交通事故で受けるダメージといういうのは非常に大きく、本日抜糸のため来院したアメリカンショートヘアーも交通事故により骨盤を骨折するという重傷で当院に来院されました。骨盤は体幹と後肢をつなぐ重要な骨格であると同時にその骨格内に直腸と膀胱を収め日常生活における排泄を維持しています。写真のとおりこの猫の骨盤はつぶされ、このままでは将来的に排便・排尿に障害がでることは間違いありません。状態が安定したところで、早々に手術を行いました。 [もっと読む…] about 骨盤骨折
内科症例か?外科症例か?
ダックスの人気とともに最近よく目にするようになった“脊椎疾患”。しかしこの病気はダックスに限らず他の犬種にも起こりうることで、写真のウェルシュコーギーも3ヶ月前に当院に腰抜け状態で来院されました。椎間板ヘルニアを疑い直ぐに脊髄造影、手術すべきであれば即手術できるよう準備を整えておいたのですが、造影した結果脊髄神経を圧迫しているヘルニア部位は映し出されませんでした。飼い主さんに来院していただき造影結果を説明、確定診断を受けるべく大学病院にてMRIを撮影することをお勧めしました。 [もっと読む…] about 内科症例か?外科症例か?
これに決めました。
今年2月からいろいろなメーカーの無影灯のカタログや実物を見てきたのですが、これはと思えるものに出会えました。大阪の岩城器材という会社が取り扱っているBERCHTOLD社のCHROMOPHAREというものです。一度購入すれば十数年は使用するであろう無影灯ですから念入りに調べていたのですが、デザインや使用感さらには予算の関係のなかで調べた限りでは一番良かったと思っています。今までの無影灯の明るさに慣れていたせいか、新しい無影灯は明るすぎるくらいで少し照度を下げて使用しています。これからはこの無影灯で良い手術ができるよう自己研鑽しなければと思っております。追伸:無影灯を買い換えようかと思われている先生方、一度デモしてみる価値はありますよ。
いたみの評価
しこりの大きさをモノの大きさに例えて表現することは簡単ですが、動物の痛みを何かに例えて表現することはなかなか難しいことです。それは獣医師と獣医師、あるいは獣医師と飼い主との間でもそれぞれの主観やその動物の性格によって異なってしまいまうからです。ちょっと前の話なのですが“動物のいたみ研究会”というところでいたみの評価基準(急性のもの)についてのパイロット版が発表されていました。実際に使用するにはまだ時間がかかるとのことですが、1つの基準ができ表現しやすくなることはいいことではないでしょうか。
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4本の足で歩くこと
先月22日に膝蓋骨脱臼を治すための手術をしたチワワのプルちゃんが検診のために来院してくれました。手術前は左後肢(写真右前)を挙上していたのですが、術後2週間で抜糸しその1週間後にはぎこちなさは残るものの4本の足で歩くことができるようになりました。何かを患っている時の動物の顔はどことなくいじけているような顔をしているのですが、今回来院した時のプルちゃんの顔は非常に楽しそうな表情をしているのは気のせいではなかったように思えます。関節外科において手術が3〜4割、残りは術後のリハビリを含んだケアーが重要であることを永岡勝好先生はいつも言っていました。今のところ術後の経過は良いようなのでリハビリも順調に進めることができそうです。犬猫にとって4本の足で歩けるということは、なによりも楽しいことであることを実感しました。
集団免疫を期待するためには
先日狂犬病予防ワクチンのことで触れた集団免疫ですが、これを期待するためにはどの位のワクチン接種率が必要かというと70%以上というデータを目にしました。日本での狂犬病予防ワクチンの接種率は50%にも満たないようです。こんな状態のところに狂犬病をもった何らかの動物が迷い込んだらとんでもないことになるでしょう。同様に飼い主さん任意で行われる8種(5種)ワクチンの接種率についても同じ程度でしょう。“海外ではワクチンは3年に1回しか接種しないからうちの犬猫もそうする。”といった飼い主さんもいらっしゃいますが、動物医療先進国のアメリカではワクチンの接種率が75%を超えているといわれています。このような状態ならば集団免疫を期待できるため3年に1回のワクチン接種で免疫状態を維持することができますが、これをそのまま日本に置き換えることができるかといったら現段階では無理でしょう。他力本願な集団免疫を期待する前に、まずは確実にワクチン接種率を上げていくことが大切なのではないでしょうか。
集団免疫
皆さんはタイトルにある言葉をご存じでしょうか?これはある集団が一定レベルで免疫状態を維持しておくことで、万が一病気が発生したとしても蔓延を予防することができるというものです。今回この話題に触れたのは、最近新聞で取り上げられている狂犬病予防ワクチンの接種率低下について飼い主の皆さんに考えて頂きたかったからです。現在の日本では狂犬病の発生もなく過去の病気のように思われていますが、世界レベルで見ると発生していない国を数える方が早いくらいです。そんななか、“うちの犬はおもてに出さないから”といった理由でワクチン接種をされない飼い主さんが増えてきているようです。日本における狂犬病予防接種率はまだまだ充分なものではありません。狂犬病は発症してしまってからでは手の打ちようがないため予防第一の病気です。みなさん、積極的に狂犬病予防接種をうけてください。
恐るべき生命力
犬ニキビダニによる皮膚病は獣医医療のなかでも難治性のものだということは皆さんご存じのことかと思います。けれども犬ニキビダニは健康な犬の皮膚にも観察されるもので、それが遺伝的あるいは免疫的に異常を起こした場合に増殖することで皮膚に病変を起こす非常に厄介なものなのです。最近ある患者さんのスクラッチ検査をし、そのスライドグラス上でニキビダニがどの位生きていられるのか観察してみたのですが・・・。 [もっと読む…] about 恐るべき生命力
セカンド・オピニオン
最近話題のセカンド・オピニオンですが、する側も求める側も注意しなければいけないと思う記事が本日の朝刊に掲載されていました。セカンド・オピニオンは様々な視点で病気を見ることで新たな治療の方向性を見いだすこともできれば、病状よっては希望の芽を摘んでしまうものにもなりかねません。医師としては患者さんがセカンド・オピニオンを希望されたら快く受け入れるべきであって、決して不快な態度や冷たい言葉を発し患者さんを突き放すようなことはあってはならないことでしょう。反対に患者さん側も何も言わずに転院してしまうのでなく、なかなか提案しにくいことだと思いますが、ひとこと主治医としている先生に声をかけてみてはいかがでしょうか?何とかしてあげたいという気持ちはどんな飼い主さんも一緒、理解できないことではありません。セカンド・オピニオンの申し出を素直に受け入れられるか否かで医師としての資質が問われるような気がします。自分の診断・治療が正しかったかどうかを知るため、そしてレベルアップするためにもセカンド・オピニオンって必要じゃないかと思います。