これから暑くなると汗をかく機会が多くなります。そこで犬猫は?ということになりますが、もちろん犬猫も汗をかいています。とはいってもヒトのように汗を分泌する汗腺というものが全身にあるわけではないので、汗が分泌されているのは四肢の裏からのみということになります。病院で診察台の上に乗せられると台の上に足跡がくっきり残った(汚れではなく)経験があるかと思います。ヒトも緊張すると手に汗握るといいますが、犬猫も診察台の上で緊張して手(足)に汗握っているのかもしれません。
さてこれからの時期、暑そうだからということでサマーカットをされる飼い主さんがいらっしゃいますが、犬猫が熱を発散するのは舌からがほとんどと四肢の裏からです。カットしたことで涼しくなっているかというと、ちょっと?かもしれません。まあ、見た目に涼しくなるのも大切ですけど・・・。
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ひと安心!
5月3日に手術をしたマルチーズ(子宮内の腫瘍)の病理検査の結果が返ってきました。急激に大きくなってきたこと、腫瘍の断面(公開はしませんでしたが・・・)を見るからに、ここのところ悪性腫瘍続きだったので今回もか!と思っていたのですが、結果は子宮の(嚢胞性)過形成ということで悪性所見は認められないということでした。抜糸も済み、本人の体も飼い主さんの気持ちのもやもやもさっぱりしたことと思います。今日はリンパ腫のゴールデンの抗ガン剤投与日でしたが、この子の経過も良くほんとにひと安心の一日でした。悲しいこともあれば楽しいこともある、なるべくならうれしいことばかり続く病院でありたいものです。
猫のクラミジア
皆さんはクラミジア感染症というと何を思い浮かべられるでしょう?性病やオウム病の原因菌としての認識は高いかと思いますが、猫に肺炎を起こす原因菌の一つであることをご存じでしょうか?現在は猫が肺炎などの呼吸器症状を起こす原因の大半はウイルス感染ということで研究が進んでいますが、クラミジアも忘れてはならない原因のようです。クラミジアを含んだ予防ワクチン(イギリスでは猫の予防ワクチンの主流になっている)も発売されていますが、一般的に普及している3種ワクチンと比較すると提供させていただく価格も高く設定しなければならないことも事実です。(もちろん予防することが大切ですが、感染を起こしたとしても抗生物質による治療が可能ですのでご安心ください)少しずつですが猫のワクチンの選択肢も増えてきました。病院で勧められたからそのワクチンを打つのではなく、飼い主さんが望むものを打ってあげることが大切なような気がします。
フィラリアの注射
初めて犬を飼われた方や高齢の方に多いのですが、“フィラリアの注射をうってください!”と来院される方がいらっしゃいます。ちょうどこの時期は狂犬病や混合ワクチンなどと重なってしまい混同してしまうようですが、フィラリアは飲み薬によって予防するのが主流となっています。数年前まで注射によるフィラリアの予防薬(モキシデック-SR;同じ名称での飲み薬については問題はないようなのでご安心ください)があったことは事実ですが、副作用(死亡例も含めて)の報告が相次いだ為、メーカーにより回収・販売中止に至りました。現在、動物病院で使用されているフィラリア予防薬は場合によって消化器症状(嘔吐や下痢)が観察されることもありますが、まず安全なものです。予防のための薬だからこそ安全なものを選んであげたいものです。
手術に使う糸のこと。
薬と同様に手術の際に使用する糸にもいろいろ種類があります。あるメーカの糸のカタログは厚さが約1センチもあり、その中には角膜や血管を縫合するものから皮膚を縫合するものまで多岐にわたっています。生体内に使用する糸吸収糸というものが主流になってきていますが、昔から使われ続けているオーソドックスな糸として絹糸があります。好んで使用されている先生も多いのですが、この絹糸も時として生体内で悪さをすることがあります。 [もっと読む…] about 手術に使う糸のこと。
ちょっとひと工夫
手術の際に使用する電気メスの専用架台がほしいなあと思っていたのですが、医療用と名が付くだけでどんなものでも値段が高くなります。さらに動物専用となるとなおのことです。今までは既製品の棚の中に納め壁際によせておいたのですが、だんだん増える医療器械によって手術室は狭くなるばかり。何とかスマートに収納したいものだと思い“自分で作っちゃえ”と昼休みにホームセンターで化粧板を切り出し組み立ててみました。 [もっと読む…] about ちょっとひと工夫
絆をみた瞬間
土曜日の晩に試験開腹し、肝臓の癌が疑われるダックスフンドが夕方亡くなりました。正直、手術をしたことで体力を消耗しているので今日までもたないのではないか?というのが私の気持ちのどこかにありました。午後の診療時間に飼い主さんが来院し面会を終えようとしたとき、飼い主さんの顔を見て安心したかのように静かに息を引き取っていきました。昨日も辛そうに呼吸をし、どうすることもできないまま飼い主さんに会える今日まで頑張って、やっと安心したかのようでした。手の付けられない状態で何もしてあげることはできなかったけれど、苦しみから解放された今、安らかに眠ってほしいものです。合掌
閉じるしかない・・・
昨夜は、急にお腹が膨らんできたということで入院していたダックスフンドの手術を行いました。血液検査では肝機能の数値が上昇し、レントゲンでは肝臓の腫大が確認されました。超音波検査をしてみると胆嚢内に胆汁のうっ滞(胆泥)と肝臓実質に怪しげな陰が確認されました。一般的な内科治療(点滴やお薬での治療)では改善が望めそうもなかったため、飼い主さんの了承を得て試験開腹に踏み切ることにしました。 [もっと読む…] about 閉じるしかない・・・
どれを選びますか?
そろそろフィラリアの予防薬を飲ませようかという時期になりました。検査の必要性については4月20日のentryでお話ししていますが、今日は予防薬の種類についてお話ししたいと思います。現在主流なのは、ミルベマイシン・オキシムを主成分としているミルベマシンA錠、イベルメクチンを主成分としているカルドメック(錠あるいはチュアブル)、モキシデクチンを主成分としているモキシデックの3つの薬ではないかと思います。当院では今までの使用感や信頼性ということで、ミルベマイシンA錠とカルドメック・チュアブルを処方させて頂いております。 [もっと読む…] about どれを選びますか?
さぞかし重かったでしょう・・・
ここのところ急にお腹が膨らみだしたというマルチーズ、レントゲンを撮ってみると下腹部に本来では観察されない大きな丸い陰が確認されました。場所的には子宮があるべき所なので子宮が腫瘍化してしまったものか?12歳という年齢もありましたが手術をしてみると、2.4kgの体の中にとても想像の付かないくらい大きく腫大した子宮が姿を現しました。麻酔から覚めたこのマルチーズ、さっぱりした様子でケージの中でくつろいでいます。(続きにはちょっとすごい写真が・・・) [もっと読む…] about さぞかし重かったでしょう・・・