パグは愛嬌がある風貌で個人的には結構好きな犬種ですが、今までに1症例だけこの“パグ脳炎”に出合ったことがあります。その症状はというと同じ場所でぐるぐると回り、頭はどちらかの方向に傾きひどい場合には発作を起こし、そのまま昏睡状態になってしまうこともあります。症状だけみると前庭疾患に似ているところもありますが、症状がみられる年齢は生後9ヶ月から7歳位までの間と比較的若いうちに発症するようです。?n このようなEntryを書くとパグを飼われている飼い主さんは不安になってしまうかと思いますが、非常に珍しい病気であり遺伝性が疑われるものですから両親や兄弟にこの遺伝的因子を持っていなければ心配いりません。実際、完全にこの病気のことが解明されているわけではありませんが、“パグにはこのような病気があるんだ”ということを知っておいてくださいね。
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経過も大切!
獣医としても飼い主としても“治ったか治らないか”という結果ばかりに目がいってしまいがちですが、しっかりした初期診断があってこそ治療方針を決めることができ、少しでも早く治せるように経過を観察することができると思います。ヒトのように直接稟告を取って治療するわけではありませんから症状が改善するまでには多少なりとも遠回りすることもあります。ちょっと獣医側の言い訳のように思われるかもしれませんが、これって本音だと思います。どんな薬でも飲ませてすぐ効果があるものばかりではありませんし、個人個人薬が合う合わないもありますし、薬効をねらって投与したものが薬害(副作用)の方が強く出てしまったりと、注意を払っていても犬猫の治療には予想外のことが起こってきます。?n 特に梅雨に入るこれからは皮膚が弱い子にとっては嫌な季節です。この皮膚病こそ最初の診断と辛抱強い治療が大切です。いろいろなことを試すのも良いのですが“これは!”と思ったこと(あるいは病院)を続けてみましょう。症状にもよりますが2〜3日で治るものばかりではありません。ある程度の経過を踏むことで良い結果が得られると思います。少々こらえて経過を見ることもお忘れなく!
動物虐待のニュース
夕方のニュースを見ていたら、オッポを何らかの鋭利な刃物で切られた雑種の映像が飛び込んできました。何処で起きたのだろうと見ていると隣の県である茨城県での出来事でした。我が栃木県でも虐待事件があり犯人は捕まったが虐待をうけた犬は残念ながらなくなってしまいました。?n 犬猫をかわいがる人もいれば嫌う人もいます。過去には飼い主のマナーの悪さに腹を立てて毒をまくような方もいるようですがそこまでするにはそれ相当のストレスがあったのでしょう。どちらの立場からも言い分はあるのでしょうが、何事も行き過ぎてしまうのはどうでしょうか?ましてや一番の被害を被るのは何も言えない犬猫達です。このような事件の報道が少しでも減ってくれるよう祈るばかりです。
骨折したかも?
活発な小型犬でよくあることなのですが、40?位の高さのソファーやベッドから飛び降りたり登ったりすることが多いかと思います。けれども何か他のことに夢中になるとそこから滑り落ちたりすることは何度か飼い主さんも経験したことがあるのではないでしょうか?問題は落っこちた後ですが、多少なりともバランスを崩した状態で着地しているでしょうから軽い捻挫のような状態ではその足を着けなかったり持ち上げたままの状態になってしまいます。?n ほとんどの飼い主さんがこの様子をみるとビックリして病院に駆け込んでこられるのですが、まずは落ち着いてその足の状態を見てみましょう。痛いながらもヒョコヒョコ歩けるようならば少し様子をみてみましょう。足を着くこともできず異常に鳴いているような状態は骨に何らかの異常を来している可能性があります。その時は病院で診察を受けレントゲンを撮るべきでしょう。成長期の犬では骨の成長板というところを痛めてしまうことがあるので高いところ上り下りや激しい運動は要注意です!
草を食べる!
猫はペットショップなどで“猫の草”なるものが売っていますよね。よく胃がもたれているときにこれを食べ自分で胃の調子を整えているようです。このように猫は“猫の草”がありますが、犬には特にそのようなものは見かけたことがありませんので、飼い主さんはよく“散歩中に草を食べているんですよ”と言うお話を聞くことがあります。けれどもこれからの時期注意しなければいけないのは、除草剤などの農薬をまく方も多くそれを摂取してしまい中毒を起こす危険性があるということです。昨年も散歩中に急に倒れたということで病院に駆け込んでこられてきた方がいらっしゃいましたが、連絡を受けて10分ほどでしたが残念ながら間に合いませんでした。?n ほとんどの飼い主さんはドッグフードを与えていることでしょう。もちろん総合栄養食としてドッグフードは優れていますが、全く青物(生野菜)を採らなければやはり胃がもたれるのも仕方がないこと。肉食動物であった犬も人とともに生活するようになりその食生活も変化しています。たまにはキュウリやキャベツなどの生野菜を与えてあげてください。こうすることで散歩中に草を食べることも減るはずです。与えてはいけない野菜もありますが与えて良い野菜もあります。適度に野菜は与えてあげてくださいね!
アトピー性皮膚炎
アレルギー性の皮膚疾患の中で比較的良くみられる皮膚病としてアトピー性皮膚炎があります。このアトピー性皮膚炎、問題は炎症を起こさせる伝達物質(ヒスタミン、ヘパリン、タンパク分解酵素)の産生を抑えることなのですが、原因を正確に捉えていなければ症状を抑えることができません。また遺伝的なものが関与しているので、仮に体質を改善することができても全く治療しなくても良いというわけではありません。写真のように手足の先をしきりに舐めてしまい、脱毛と炎症を起こしてしまうことはこの皮膚炎ではよく観察されることです。?n さてこのアトピー性皮膚炎、どのように治療していくかということなのですが、まずヒトと一緒で長期にわたる(場合によっては生涯にわたる)治療が必要となります。また有効とされている薬も非常に限られ、使用方法によっては望まない副作用もみられることがあります。いろいろな民間療法もあるようですが症状をあるレベルまで落ち着かせることができるのはステロイドという薬です。ステロイドというと皆さん怖がって使用することを拒む方がいらっしゃいますが、大切なのは使用方法です。もしアトピー性皮膚炎と言う診断を受けたならば決して悲観的にならず前向きに治療方法を受け入れてください。完治する病気ではありませんが症状を少しでも楽にすることは可能なのですから。
心臓病の薬
体の中で1番働いている臓器といえば心臓、それに続いて肺ではないでしょうか?もちろんほかの臓器も働いてはいますが、寝ても覚めてもある一定のリズムで動いている心臓は休むことがない分疲労がたまり衰えていくのが早い臓器でもあるでしょう。?n 心臓病と言われると飼い主さんとしては非常にショックを受けられる方が多いのですが、心臓病と言っても重症のものから初期段階のものまでいろいろあります。先天的な心臓疾患でなければ、だいたい8歳を過ぎると心臓病の症状が出始める子がいます。さて心臓病の症状というと皆さんは何を思い浮かべますか??n [もっと読む…] about 心臓病の薬
キチンクリームについて
このページをご覧になった方から問い合わせのあったキチンクリームについてEntryしたいと思います。キチンはカニやエビなどの甲殻類の骨格や殻に含まれる繊維質のことで人工皮膚や手術の縫合糸として使用されています。キトサンとはほとんどがキチンを加工することで生産されるもので、皮膚の再生や免疫力強化、抗ガン作用などの作用があるものです。?n さてこのキチンクリーム、使用目的はペットの皮膚を守るケアクリームで、?強力な除菌・殺菌作用 ?肌荒れの防止 ?ノミなどの虫さされの炎症を防止 ?傷の痛みを和らげ回復を早める 作用があり当院ではニキビダニによる皮膚の痒みを抑える目的で使用していますが、飼い主さんには非常に満足していただいています。抗生物質やステロイド入りの軟膏とはまた違った効果があるこのクリーム、使用方法は多岐にわたって使えそうです。※このクリームは動物病院でお買い求め頂けます。
出張先での出来事。
昨日の夕方は、仕事を早く切り上げて手術依頼を受けた動物病院へ。いつもだと自分が着くとすぐに手術の準備に取りかかるのだがちょっと待って欲しいとのこと。“どうしたのかなあ〜?”と待っていると老夫婦が息も絶え絶えの雑種を連れて来院してきました。診察の様子をみているとどうやらフィラリア症のようで、血液を顕微鏡で見させてもらうとミクロフィラリアが・・・。今日、命が持つか持たないか?位の状態でした。?n やはり予防第一の病気であるフィラリア症、ひと月分の薬代としては数千円でしょうが1日としては数十円でこの怖い病気から守ってくれる予防薬。去年投与するのを忘れてしまった飼い主さんもいることでしょう。さあ、明日にでも動物病院で血液検査を受けてみてはいかがでしょう。感染してしまってから後悔しないように・・・。
エキノコックスについて(追加)
先日、Entryさせていただいたエキノコックスについて北海道大学・寄生虫学教室の先生よりご助言を頂きましたのでお知らせしたいと思います。まず、犬猫への感染についてですが野ネズミを採食しないと感染は起きないとのことです。特にペット連れで北海道に遊びに行かれる方、これから引っ越し等で北海道に来られる方には特にペットと野ネズミとの接触を避けるようにしていただきたいとのことでした。?n 狂犬病も我が日本では昭和32年を最後に発生はありませんが、決して世界中のどこにも狂犬病がなくなったわけではありません。特にエキノコックスは北海道からキタキツネの本州への上陸により、決して“対岸の火事”的病気ではなくなる可能性があります。予防することのできる病気は積極的に予防していくことが、病気からペットひいてはヒトを守る方法なのかもしれません!?n ※明日、月曜日は出張手術のため午後の診察は6時までとさせていただきます。