飼い主さんからの稟告からスタートする犬猫の診療は、正直獣医さん(自分も含め)に対して様々な先入観を持たせます。もちろん稟告だけで診察を終了することはないので、病気を見落としたりすることのないよう身体検査から始まり、必要があればさらに進んだ検査を行います。けれども獣医とはいえ人間、いくら修行を積んできたとはいえ少なからず先入観をもってしまうとそこから視点が離れなくなってしまうこともあります。
セカンドオピニオンといって、違った先生によって新たな病気の見方や考え方を得ることができます。自分は少しでも不安に思ったことはすぐに調べなおし、信頼のできる先生に相談するようにしています。そうすることで新たな治療方針を導き出し“落とし穴”にはまることなく診療を進めることができるからです。このインターネット時代、情報は満ちあふれています。先生には聞き難いけれど不安に思ったことはどんどん検索して調べてみることは大切ですよ!
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離断性骨軟骨症
股関節形成不全と一緒に大型犬種(特にオス)に見られる骨の病気として“離断性骨軟骨症”というものがあります。特に肩関節の軟骨部分に見られることが多く、飼い主さんはペットが跛行(足を引きずって歩くこと)することで発見するケースがほとんどかと思います。Entryしているレントゲン写真もジャーマン・シェパードの肩関節にみられた“離断性骨軟骨症”のものです。症状としては特に坂道を下る運動を非常に嫌がりました。“離断性骨軟骨症”は成長期における軟骨が骨化するときの速度の差によって骨と軟骨の分離が生じることで起こるのですが、骨が成長しているときの極端に激しい運動が原因になることもあります。
レトリーバーを飼われている方で股関節形成不全の診断してもらうときには、肩関節も一緒にレントゲンを撮ってもらうことをお勧めします。病気の兆候を早くから知っておくことは大切ですよ!
さらに充実!!
久しぶりに永岡犬猫病院勤務時の同期と会うために、みなとよこはま動物病院(旧・永岡犬猫病院)に行って来ました。雨にもかかわらず診察を待つ患者さんがたくさんいました。おどろいたのは地下1階部分に飼い主さんが自分のペットと寝泊まりができるICU(集中治療室)が新設されていたこと。そして病気に対しての説明をコンピューターのスクリーンで解りやすく説明するシステムが導入されていたことでした。
飼い主さんにとって病気に対しての説明はなかなかわかりにくいものです。それを解りやすくさらには安心して入院生活を見守れるような設備の充実は、みなとよこはま動物病院がほかの病院の追従できないようなレベルにきていると思いました。近所にお住まいの方は是非足を運んでみてはいかがでしょう。動物病院の見方が変わるかもしれませんよ!
止めるべき咳
咳はするのも辛いですが、しているのを見るのも辛いものです。できることなら早く止めたいものです。けれども咳というのは気道内に付着した異物を排除するための生体防御反応の1つだという事を皆さんはご存じですか?よく痰がからんだ咳といわれるもので、異物を痰のなかに包み込んで排除するといったものなのですが、このタイプの咳(湿性の咳)はよほど体力の消耗がない限り止める必要はありません。これとは別に乾いた咳は体力を消耗するのはもちろんのこと、気管や肺に強い圧力がかかることで2次的な病気が引き起こされる可能性があるため積極的に止めなければなりません。
これから寒くなり人ではインフルエンザが流行り始めます。咳をするにはそれなりの原因があり、その原因がはっきりしなければ咳を止めるべきか否かの判断はできません。咳をしているから咳止め薬をもらうといった習慣は身につけたくないものです。ちゃんとおかかりの獣医さんに相談してみてくださいね!
日付けは変わりましたが。
16日、チワワの4つ子が生まれました。レントゲンでは何とか自然分娩でいけそうだったのですが、陣痛が弱くやむなく帝王切開にて無事出産しました。3?の小さな体に4匹の新しい命、大したものですよね!飼い主さんも新しい家族を迎えて大変喜んでいました。しばらくの間赤ちゃんの世話は大変ですが、がんばってくださいね!
2つ目の手術
今日はおせおせで手術(帝王切開・踵骨骨折)が入ってしまったので、Entryはお休みします。申し訳ありません。
本日は・・・
誠に勝手ながら、本日午後より法事があるため私は午前のみの診療とさせていただきます。なお、病院は開いておりますのでお薬だけの患者さんはどうぞご来院ください。明日、日曜日は通常通り診療いたしております。
説明の仕方・され方
獣医師は何もいってくれない犬猫の診断・治療をします。その診断には人であったら稟告をとれば済むことでも、検査をしなければわからないことがたくさんあります。そして病気の説明を飼い主さんにするにあたって少しでも解りやすいように行っている先生がほとんどだと思います。例えば“細菌→ばい菌”“抗生物質→ばい菌を殺す薬”など小学生でも解る言葉で説明しなければならないと教え込まれたものです。けれども転院されてくる患者さんとお話ししてみると、診断名はおろか何がどのように悪いのかという説明を受けていない方がいらっしゃいます。というよりも専門用語での説明が多いため最初は解っていたような気がしても家に帰ってみると?ということがあるようです。
犬猫を治療をするにあたっては、飼い主さんに納得をしていただいた時点からスタートできるものです。少しでも解らないことがあればしっかり説明を受けていただき、納得した上で治療を受けるべきでしょう。それがお互いにとってトラブル回避の第一歩です!
ステロイドについて
“ステロイド”という薬に対して皆さんはどのような印象をお持ちでしょうか?ほとんどの方が“こわい薬”といったイメージがあるのではないでしょうか?けれどもステロイドほど用途が多様で広く使われている薬はありません。交通事故やショックを起こしているようなときにはまず第一に静脈を確保した後に使用しますし、水頭症や神経症状が強く見られたときも使用します。最近では犬猫の高齢化とともに増えている癌に対して“抗ガン剤”としても広く使用されています。皮膚病の時によく“かゆみ止めのくすりですよ!”と使われているのもステロイドのことがあります。(もちろん症状によっては使用できませんが!)
どんな薬でも使用するときの用量や期間を誤れば思わぬ副作用を招きます。“ステロイド”も使い方によっては良薬でもあり、薬害を招きやすい薬でもあります。決して“ステロイド”という薬を怖がらないでくださいね!
ニキビダニのこと
これが難治性皮膚病の原因である犬ニキビダニです。ニキビダニ症の原因は正確に解明されていないのが現実なのですが、免疫抑制や何らかの代謝性の疾患、発情や分娩、糖尿病などの疾患をもっている場合に観察されるようです。確定診断をするにはおかかりの動物病院で皮膚を掻爬(引っ掻く)することで診断することができます。
もしニキビダニが寄生してしまったら、少々辛抱強い治療が必要になります。けれども決して治らないわけではありません。がんばって治療していきましょう!!