数日前のネットでの記事にペットの火葬におけるトラブル(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071117-00000055-mai-soci)について目にしました。ペットブームを逆手に取り、飼い主が嫌と言えないのをいいことに法外な金額をだまし取る。どんな時代にもあくどい商売をする人はいるものですが、とうとうペット業界にも進出してきたか という感じです。ペットのために何かしてあげたいと思う飼い主さんの気持ちは非常に純粋なものだと思います。少しでも長く一緒にいたいから良質なフードを選び、健康のためにと多くのサプリメントを与え、病気になれば少しでもいい医療を受けさせようとネットを検索し、最後は静かに天国に送り出してあげる。この一番最後の悲しいときに、こんな酷い仕打ちが待っていたとしたら・・・。
インターネットは様々な情報をもたらしてくれますが、あまりの情報の多さに本当のことが判らなくなってしまっているような気がします。このようなトラブルに巻き込まれないためにも、本当のものを見極める力を身に付けたいものです。
もう手放せないかも・・・。
7月末から手術の際に使用している電気メス【VIO300D】。これについている機能の一つであるバイクランプ。使用メインの手術は卵巣・子宮全摘出術(写真は卵巣動静脈をクランプし止血ているところ)なのだが、一度使ってしまうとこんなにも手術が手早くすむモノかというくらい短時間で済ますことができます。人医療の方ではこの機械の導入で手術時間が1時間以上短縮できたという話も聞きました。先だって行った腫瘍摘出手術の際も血管の処置の楽なこと楽なこと。もしかしたら自分は手術が上手くなったのではないかと錯覚するくらいスムーズにしかも手早く手技を行うことが出来ます。
病院開業にあたって3種の神器と呼ばれていたものといえば、数年前まで血液検査の機械・レントゲン・エコーなどといわれていましたが、最近では内視鏡・CR(コンピューター処理されたレントゲン装置)などといわれていますがその中にこの電気メスを付け加えてもいいくらいこれから需要があるモノではないかと思っています。何となく機械の宣伝(というか自慢)のような記事になってしまいましたが、これから手術のスタンダードになっていくモノではないでしょうか。
こんなものにも要注意。
10月は何かと手術が立て込んで、ろくに書き込みも出来ずに11月を迎えてしまいました。その中でも注意しなくてはいけないなぁと思った症例をご紹介します。まず写真の説明ですが何だか判りますか?ロープらしきものということはお判りになるかとは思いますが、これは【デンタルロープ】なんです。手術の3日ほど前から嘔吐と下痢を症状として来院されたチョコラブちゃん。レントゲンを撮ってもロープなので写ることなく、お預かりしてバリウム造影をしてみました。すると何時間たっても胃の中に残るものが・・・。それがこの【デンタルロープ】だったのです。【デンタルロープ】といえば噛ませることで歯を綺麗にするものですが、まさかこれを飲み込むとは飼い主さんも思ってもみなかったようです。手術前に飼い主さんに身の回りのもので無くなったものはありませんかと聞いたものと、胃〜腸を切開して出てきたのは全くの別物。ペットって飼い主さんが思っている以上に活発でとんでもないものを口にしていることがあるんですね。みなさんもお気を付けくださいね。
教科書通りにはいきません。
過去にお産を経験していると子宮蓄膿症にはならないといった噂があるようですが、ここのところ手術させてもらっている症例ではこの噂が当てはまっていません。当院で過去2回帝王切開にて出産しているチワワが、お腹が張っているということで来院されました。食欲は何となく落ちているということで超音波を当ててみると・・・・、ずばり教科書に出てくるような典型的な子宮蓄膿症の像でした。気がついたのが早かったせいか血液検査ではWBC・BUN・CREAいずれも正常値で、即手術を行い次の日には見違えるほどの食欲になり無事に退院することが出来ました。もう一つの症例でも過去に自然分娩で出産している子も同様に血液検査では大きな異常はなくとも子宮蓄膿症でした。
よく勉強されている飼い主さんにとっては“もう知っているよ”ということだとは思いますが、子宮蓄膿症を診断するに当たって必要なものは 1)レントゲン検査、2)超音波検査、3)血液検査ではないでしょうか。これら3つの情報を総合的に判断して診断を下すべきでしょう。子宮蓄膿症の時は食欲が落ちると言われていますが、ぎりぎりまで食べていた子もいますし・・・。ここから先は子宮蓄膿症の子宮を摘出した写真をアップさせていただきます。刺激が強いので気の弱い方はここまでに・・・・。 [もっと読む…] about 教科書通りにはいきません。
終末医療とは?
始まりがあれば必ず終わりもある。楽しい時間を過ごさせてくれるペットにも寿命を迎えるときが来ます。自宅で穏やかに最後を迎えることができるペットもいれば、事情により病院でお亡くなりになるペットもいます。重たい書き出しですが、先日まで当院には2頭の重病ペットが入院していました。共に腎不全の末期状態で、点滴をすることで何とか身体を維持できているような状態です。点滴をやめてしまったら・・・おそらく数日と身体はもたないでしょう。
その入院中の飼い主さんから1つの申し出がありました。“このまま入院させておくことがこの子にとって幸せなんでしょうか・・・。”難しい選択だと思います。病気や症状によっては快方に向かう治療ではなく、現状維持あるいは悪くしないための延命治療であることもあります。腎不全も末期の場合、何とか生き存えさせているということにもなります。今回は家族の総意ということで点滴をやめ、住み慣れた自宅で経過を見守りたいという申し出を受け入れ退院させることとなりました。あれから2日、その子は特に苦しむことなく眠るように亡くなったそうです。
終末医療のあり方とは・・・・・なかなか難しいものだと思います。これがBESTと言えるものはありません。けれど本人が苦しまず、飼い主さんが納得できる一番の方法を導き出してあげることができればそれが一番いい医療なのでは・・・。
辛く寂しいことですが、それを決めることができるのは家族である飼い主さんだけだと思っているのですが皆さんはどう思われますか。
自分には見えなかったけれど・・・。
クッシング症と戦っていたダックスが亡くなりました。年齢がいってからのこの病気だったので今までよく頑張ったと思います。さて、タイトルにある“自分には見えなかったけれど・・・”とはこのダックスに絡むお話しです。病状が思わしくなかったため昨日は院内で点滴をし夕方まで様子を見てみましょうと話をしていたのですが、お迎えの1時間前に飼い主さんから連絡が入りました。“先生、その子は今晩亡くなると思うので今晩は自宅で様子を見たい。”というものでした。さらに良く話を聞いてみると、数年前にお亡くなりになったお母さんのお告げのようで、“もう歳なんだから寿命だと思いなさい。”ということ。しかも病院でずっとその子の躯をなででいたというのです。自分は霊感的なものは弱い方なのでそのお亡くなりになったお母様の気配は感じられませんでしたが、点滴を打っている間ずっと見守られていたようです。お告げの通り、昨夜12時頃最後の力を振り絞るかのように立とうとしてそのまま亡くなったそうです。ホントによく頑張ってくれました。ゆっくり休んでください。合掌
大きい犬から小さい犬まで
10〜11日と整形外科の手術が続きました。10日は他院の症例だったのですがなんと体重80kgの超大型犬、そして11日は当院の症例で7kgの小型犬。同じ犬でもここまで差があるんですから、犬種のバリエーションには驚くばかりです。超大型犬の症例は中手骨という部位の骨折で骨も人並みに太かったので比較的楽に行うことができましたが、小型犬の症例は骨盤骨折でさらに肥満体型だったので非常に手術が厄介でした。手術は大変でしたが、今日はだいぶ痛みも楽になったようでケージの中で動き回れるようになりこちらもひと安心です。今回手術した骨盤骨折の小型犬は交通事故でした。命に別状はありませんでしたが、原因はノーリードです。皆さん犬を散歩されるときはリード(命綱)を忘れずに。
緊張しましたが・・・。
昨日、【犬の会陰ヘルニア整復に大腿筋膜を使用した1例】という内容で無事に発表を終えてきました。そして有り難いことに関東・東京地区獣医師会奨励賞を頂くことができました。今回このような賞を受賞できたのも、私の考えた手術法を快く受けていただいた患者さんのジョン君とその飼い主様、スライドを作成するにあたり協力していただいた先輩のk先生と同級生の高瀬君、読み上げる原稿をチェックしていただいたs先生他、多数の方々の協力があってこそだと思っております。ありがとうございました。これからも学術の面でも技術の面でもさらに精進していく所存ですので、皆さんこれからもよろしくお願いします。
疲れが抜けない今日この頃
まだまだ蒸し暑い日が続きますが、皆さん夏バテなどしていないでしょうか?私事ですが、ここのところ休んでもなかなか疲れが抜けません。夏バテ予防に焼き肉やトンカツなどでも食べに行けばとも思うのですが、実際に選んでしまう食事はさっぱりした麺類とか回転すしなどになってしまいます。犬や猫も同じようで“いつも食べているドライフードを食べないけれどどうしたらいいでしょう?”という質問をされることがここのところ増えています。今のような時期は口の中でゴワつくドライフードではあまり食が進まないのでしょう。簡単なところでフードをお湯でふやかして与えてみるのはいかがでしょうか?決して、手を代え品を代えでペットの口がこえないように気をつけましょう。
夏バテ気味の状態で、私は2日に控えた学会発表のことで頭がいっぱいになっています。大勢の人の前で発表するのは8年ぶりで非常に緊張しています。あぁ〜早く終わって欲しい。
立場が逆転
先日ある新聞で目にした【院内暴力】の記事。【院内暴力】と聞いて僕は‘医師による言葉の暴力などのドクターハラスメントのことかなぁ’と記事を良く読んでみると、驚いたことに患者さんから医師あるいは病院に対しての暴力についての内容でした。なかでもビックリしたのが聴診器で首を絞められた医師の話や、検査を依頼しその結果が何でもなかったから検査代金は払いたくないといった一方的な言い分であったり・・・。ちょっと前まではIC(インフォームド・コンセント)のあり方などで患者さんが弱者的な部分もあり医師からの暴力が話題になっていた時期もありましたが、立場が逆転した様な内容。どちらの記事も悲しくなるものです。医者としても患者としても、お互い尊重しあえるような関係を築き上げて行ければこのようなこともないのだろうに・・・。自分はどちらの立場にもいる人間なので医師としても、患者としても身だしなみには注意をしなければならないと思った記事でした。皆さんはどう思われますか?