湿気の多いムシムシとした日々が続きますが、こんな時期は健康な犬猫でも皮膚のトラブルに見舞われてしまうことがあります。日々皮膚を患っているペットの飼い主さんにとっては少しでも早くこんな時期が終わってほしいことかと思います。痒みの治療といったら様々な薬がありますが、“薬はちょっと・・・”という飼い主さんにお勧めなのがこの【イムロース】です。これはニゲロオリゴ糖を主成分とするサプリメントで体の免疫系に直接作用することで皮膚の痒みを軽減してくれるようです。当院でもアトピー性皮膚炎ということでずっと薬を服用していたゴールデン・レトリーバーに使用させてもらっていますが、かゆみ止めの薬を減らすことに成功しています。もちろん薬のような劇的な効果は望むことはできませんが、主成分がオリゴ糖ということで長期投与をしても副反応の心配は無いと言っていいかと思います。今まで色々なものを試してみた方もまず1ヶ月試してみてください。もしかしたら今までの何よりも効果があるかもしれませんから。
さらに進んだ医療へ
気がつけば7月に入り今日で11日も過ぎてしまいました。日々が過ぎるのはこんなにも早いなんて・・・。さて、7月1日はお休みを頂いて日本大学の外科会に参加して参りました。今回の外科会は日本大学付属動物病院増築のお披露目も兼ねていました。写真は手術前処置室ですが、人医の病院並みの施設で手術室もさらに立派なものに。もちろん外科的な施設ばかりではなくそのほかの施設も非常に充実し、自分もOBだからというわけではありませんが、自信を持って紹介させていただけます。
そして7月5日はシェリングプラウアニマルヘルス主催の講習会&デンマーク大使館での懇親会に参加して参りました。参加されていた先生方も多く、戸塚で開業されている大先輩の布川先生とお話しすることもでき、非常に有意義な時間を過ごすことができました。参加されている先生の顔ぶれを見る限り、“まだまだ自分はひよっこだなぁ”と思う反面、さらに頑張ろうと思える数時間でした。
内容の濃いこの数日間。
またまた更新がおろそかになっていましたが、今月は手術やお産でハードな日々を過ごしていました。特に神経を使ったのは写真にもあるダックスのマイク君の手術でした。マイク君は以前、原因不明の呼吸器疾患を患っており“麻酔をかけて手術なんかとんでもない”と言った状態でした。その症状も落ち着きやっと普通の生活ができるようになり飼い主さんのひと安心かと思いきや、便が思うように出すことができない会陰ヘルニアになってしまったのです。しばらくは内科的な処置で対応していたのですがもう限界ということで手術に踏み切らせてもらいました。心配していた麻酔も問題なく行うことができ、術後の経過も良く今では普通に便をすることができるようになりました。他にも体重が1.5キロのヨークシャーテリアの大腿骨頭切除などありましたがおかげさまで無事に手術を行うことができました。
1つ残念なことは23日が出産予定だったキャバリアが少し早く産気づいてしまい、自然分娩で生むことはできたのですが4頭のうち1頭が残念ながら亡くなってしまったこと。よく“犬は安産”なんて言われていましたがなかなかそうは行かないものです。気がつけば6月も終わり。来月も頑張ろう。
日本では考えられない。
先日ニュースで見たのですが、中国では狂犬病で亡くなった人が年々増え続けているということです。犬を飼ってはいるのだけれど狂犬病の予防ワクチンを接種していなかったり、犬に咬まれた際に適切な処置を受けないための結果だと報じられていましたが、驚いたのは次の内容でした。【狂犬病流行のため、犬を飼っているものは自らの手で自分の犬を処分すること。処分できない場合は罰金とする。】う〜ん、日本ではとても考えられないことですね。とはいえ狂犬病がないといわれている日本でも、ワクチンの接種率は50%程度と言われています。もし日本での狂犬病予防接種率が低下すればこのような状況になるやもしれません。大型犬〜小型犬に関わらず、狂犬病の予防接種はしっかり受けていただきたいものです。
梅雨入り前に
遅れているとはいえもうすぐ梅雨入り。雨が多くなるこの時期は足下が滑りやすく、特にタイル張りのフロアーでは濡れることでさらに滑りやすくなってしまいます。当院の入り口もタイル張りで雨の日には気をつけて上り下りしなければならなかったのですが、昨日の休診日を利用して滑り止め加工をしてもらいました。これで雨の日も安心して来院される患者さんを迎えることができるようになりました。とはいえ濡れた地面は乾いているときと同じという訳にはいきません。雨の日のお出かけは、足下に注意してくださいね。
せっかくの好意を・・・。
最近ある先生との話の中に、夜間救急でやってきた患者さんの話が出ました。ある夜の出来事だったらしいのですが、病院ではなく自宅のインターホンを鳴らされ“急患なので診てほしい。”と起こされたそうです。時間は深夜の2時。出てみるとその患者さんは今まで病院にかかったことのない初診の方のようでした。一通りの診察〜処置を終えさてお会計となったときに、その飼い主さんは急いでいたあまりお財布を忘れてきてしまい、お支払いは後日にということで連絡先を残し帰って行ったそうです。が、後日どころか料金を払いに来る気配もなく、残された連絡先に電話してみると今はお金がないから払えないというそうです。何らかの事情があるのなら説明してくれればいいのですが、その方は現在もお金を払いに来る気配すらないそうです。
これって店員さんがいる前で堂々と万引きしているようなもの、あるいは食堂で食い逃げしてきたのと同じ。はっきり言って犯罪でしょう。その先生も半分諦めているとのことですが、このようなことは断じて許すべきことではないでしょう。お金の問題ではなく人としてのモラルがあまりにも欠けている好意ではないでしょうか。最近は保育料を払わない方が多いというニュースも聞きますが、人として残念というか悲しくなってしまいませんか?
今更ですが、予防のすすめ。
ペットの健康管理のため、良質のフードを選んだり、サプリメントを飲ませたり、予防できるものはしっかりしたりなど飼い主の皆さんは何かと情報を収集し、日々研究されていることと思います。最近ある患者さんから“フィラリア予防薬はヒ素でできているんですか?もしそうなら飲ませたくないんですけど。”という質問をされました。現在予防薬として販売されているものはミクロフィラリアを予防するためのもので内寄生虫駆除薬として分類されています。成虫駆除薬として使用されているメラルソミンというものは確かにヒ素系のものとして分類されています。
何処で情報が混同してしまったのか判りませんが、毎月経口投与する予防薬にはヒ素など含まれていません。フィラリア抗原検査を受けて陰性であれば安心して使用していただけるものだと思います。獣医師があまりにも積極的に予防薬を勧めると“お金にがめつい先生ね!”と思われてしまうことがあるのですが、フィラリアは月に1回の投与で確実に予防できるものであり、何より予防が大切な病気です。是非予防していただくことをお勧めします。ちなみに2005年のデーターになりますが、日本糸状虫症研究会によりますと栃木県の犬フィラリア感染犬の頭数は1975頭確認されているそうです。怖いですね。
雨の最終日
今日でゴールデンウィークも終わり。皆さんはペットと一緒に楽しいお休みを過ごすことができましたか?毎年お休みの後半になると体調を壊して来院されるペットが多いのですが、今年は比較的、平穏無事な日々を過ごすことができました。とはいってもゴールデンウィーク前半に骨折で来院したトイ・プードルがいたり、寒暖の差があったせいなのか尿閉になった猫がいたりと一時的に入院が増えた日もありました。現在6日の午後3時半、今日はこのまま何事もなく終わりそうです。明日から皆さんもお仕事が始まるかと思います。穏やかなゴールデンウィーク最終日をお過ごしくださいね。
春は出会いと別れの季節?
またまた更新がおるすになってしまいました。4月は新年度ということで新入社員の方が頑張っていることかと思いますが、当院にも診療を補助してくれるお手伝いさん(AHT)を迎えることができました。犬猫に対して非常に優しく接してくれるため、診療もスムーズに行うことができるようになりました。まだまだ不慣れな点もありますが仕事の飲み込みが早いのでこれから期待大です。しかし、タイトルにもあるように春は嬉しいことばかりではなく悲しく残念なこともありました。13歳になるコリーと14歳になるシェルティーがお亡くなりになりました。コリーは変形性脊椎症で歩くことが困難になり、最近では寝ていることが多く食餌も思ったように摂れなくなってきていました。点滴をすると一時的には良くなるのですがやはり老化にはかなわなかったようです。シェルティーは慢性の肝臓病で飼い主さん手作りの療養食と病院からの薬でだいぶ検査値も落ち着いてきたところでの出来事だっただけに非常に残念でした。嬉しいことも悲しいこともありましたが、新人さんを迎えたことでパワーアップした診療ができるよう心懸けていこうと思っています。
予防薬にもジェネリックが・・・
もうすぐフィラリア予防のシーズンがやってきます。今年はさくらの開花予想も早かった位ですからフィラリアを初めとした予防対策は少し早めに開始した方がいいのかもしれません。さて皆さんは去年病院でもらったフィラリア予防薬の名前は覚えていますか?どうしてこのようなことを書いているかというと、今年はフィラリア予防薬にも多くのジェネリック製品が参入してきているからです。錠剤のミルベマイシンオキシム(ミルベマイシンA)についてはまだ特許が切れていない関係でジェネリック製品は発売されていませんが、イベルメクチンを主成分とした予防薬はカルドメック錠あるいはカルドメックチュアブルを先行品として様々なメーカーがジェネリック製品を発売してきました。そして今年はチュアブルタイプの予防薬が数社から発売されます。が、残念なことにチュアブルタイプの予防薬は先行品とほとんど価格差がありませんでした。先行品はどうしても価格が高めの設定になってしまいますが、ジェネリック製品はお手頃価格で提供できるものがほとんどかと思います。病院によって価格の設定は異なりますが、ジェネリック予防薬によって出費を抑えることも可能です。興味を持たれた方はおかかりの病院に相談してはいかがでしょう。