2日前のことですが、【今まで平気なことでも・・・】でEntryしていたボーダーコリーとそのオーナーさんが抜糸のために来院しました。もちろん今回は無事抜糸することができました。そして何より嬉しかったことは手術の際に取り上げた子犬が順調に成長していたことです。今だからお話しすることができますが、このボーダーコリーは10歳。正直、これだけの高齢犬の帝王切開は経験したことがなかったので子犬がしっかり育つのだろうかということも心配でした。けれどもオーナーさんはボーダーコリーをブリーディングして約20年の経験から平気だといっていましたが本当にその通りでした。次回は3週間後に第1回目のワクチンに診察することができます。来年にはオーナーさんの母国オーストラリアに行くとのこと。それまで何事もなく成長してくれることを願います。
念願の一品
予てから“整形外科に使用する骨ネジを収めるトレーが欲しいなぁ”と思っていたのですが、ペネットさんが製品化してくれました。整形外科器具を扱っているメーカーにも似たようなものはあったのですが、最近の小型犬ブームで整形外科手術に使用するネジも一番小さいものでφ1,5mmとなり、それを含めた他のネジを1つのコンテナーに収納できるものがありませんでした。今回製品化されたトレーはφ1,5mm〜φ3,5mmまでのネジを収納することができ、長期滅菌状態が可能なコンテナーに収めることで急な手術にも対応できるようになっています。ペネットさんの連絡先は?047-105-1871です。興味を持たれた先生がいらっしゃいましたら連絡してみてください。
どうしても手術が必要なとき
日々診療していると、身体の状態が悪いのだが原因を除去するためにはどうしても手術が必要になってくる症例に出くわすことがあります。ここでお話しする状態が悪いというのは貧血傾向であるとか、血液検査でTPやALBが低く術後の経過が思わしくないであろうものとか、術中に出血を多く伴うであろうものに限っての話になりますが、そういった際に当院では写真にある乾燥プラズマというものを使用しています。人のように血液型が明瞭で血液のストックが常にできない動物医療においては、輸血といっても手軽にできるものではありません。また輸血するにも血液型(DEA1.1 1.2 DEA3〜8)が多種ある犬では適合するものを探すだけでも大変なことになります。乾燥プラズマは人の成分輸血のようなもので、血液型に関係を気にすることなく犬の状態によって投与量を加減すればよいので獣医師としては使用しやすい血液製剤になります。けっして安価なものではありませんが、実際使用していると予想されるトラブルを回避することができています。飼い主さんから“乾燥プラズマを使いたい”というような機会はないと思いますが、獣医療にはこういうものもあるということを知っていただければと思います。
今まで平気なことでも・・・。
梅雨明けが待ち遠しい今日この頃、前線が活発なせいか今日も朝から強い雨が降り続いている宇都宮です。火曜日の話なのですが、雨降る午前の診療時間をゆっくり過ごしていると先日帝王切開〜避妊手術をさせてもらったボーダーコリーが抜糸のため来院されました。予定どおり抜糸をするはずだったのですが・・・ [もっと読む…] about 今まで平気なことでも・・・。
熱中症〜なぜ怖いのか〜
新聞でも今年としての最高気温や熱中症(熱射病)の記事を目にするようになりました。今までも何度かこの話題に触れてきましたが、どうして熱中症(熱射病)が命を脅かすほど恐ろしいものなのかを説明させてもらおうと思います。体温は視床下部というところで設定・調節されているのですが、身体が生理的に体熱を冷却することのできる能力をを越えた高熱に曝されることで、身体を構成している細胞のタンパク質および酵素・細胞膜の熱変性によって組織の壊死が生じることになります。これが進行すると多臓器不全という状態に陥ります。具体的な臓器の症状としては、脳浮腫・循環血液量の減少および心筋壊死・胃腸粘膜壊死・腎不全・播種性血管内凝固などどれも命を脅かす恐ろしい症状です。これらの多臓器不全を生じさせる危険な体温は43℃、その高温状態にどれだけの時間曝されていたかによって救命率や後遺症の有無が決まってきます。ということは発見してからいかに体温を下げながら病院に駆け込むことができるかも重要になってきます。熱中症は屋外だけでなく屋内でも起こりうるものです。日頃の温度および湿度の管理、そして充分な水分を摂ることができるような環境作りを心懸けてください。
湿度と皮膚病
犬猫を飼っていると、必ずといってよいほど経験する皮膚病といえば膿皮症ではないかと思います。特に梅雨のじめじめした時期は皮膚のバリアー機構が破壊されやすく、皮膚に存在する正常な細菌叢が変化することで症状を引き起こします。甲状腺機能低下症・アレルギー(ノミ、アトピー、食物性、接触性etc.)・皮膚の脂漏症などの基礎疾患をもっている場合は、健康なものと比べるとその発症率は高くなると思われます(場合によってはトリミングがきっかけになることもあります)。原因菌はStaphylococcus intermediusというブドウ球菌の一種の感染が発端で、症状の進行とともに様々な細菌が増殖し皮膚の状態を悪化させていくようです。症状は軽いもの(表在性)から皮膚の深部にわたる重度なもの(深在性)まで様々ですが、消毒と適切な抗生物質の投与で速やかに改善していきます。湿度が多いこんな時期、食べ物では食中毒、ペットでは膿皮症に注意ですね。
食べさせても平気?
ペットの食事で市販のフードを与えている飼い主さんでも“これって食べさせても平気なのかなぁ?”と思う食材があるかと思います。私もつい最近までは与えない方がいいと思っていたものが、量によっては健康を維持するために役立っているというものがあったので、ご存じの方も多いかと思いますが紹介したいと思います。まずはニンニク。ニンニクはネギ科の植物で与えてはいけないと思われている方も多いかと思いますが、免疫力を強化し虫除け(ダニやノミ)効果があるようです。続いてショウガ。ネギ科の植物ではありませんが臭いや刺激が強いため与えるのを躊躇していた方もいらっしゃったかと思いますが、抗炎症・抗酸化・強肝作用があるようです。最後にゴマ。ゴマもまた抗酸化作用が強く、さらには抗ガン作用もあるということです。5kg位のペットでニンニクなら半かけ、ショウガなら小指の先程度の大きさなら問題ないようです。とはいえ体に合うあわないがあるでしょうから、与える際は下痢や嘔吐などの症状がでないか注意して与えてみてくださいね。
捨て犬猫、半減作戦
本日の読売新聞の記事の見出しですが、環境省が2017年度までに捨て犬や猫を半減させるべく【動物愛護管理基本指針】に取り組むようです。この記事で驚いたのが、これだけペットブームといわれている現在でも捨てられたり迷子になるなどして保険所に引き取られた犬は18万2000匹・猫は23万9000匹。そしてこの9割以上が殺処分されているということです。捨てられたペットの問題は今までも様々なメディアが取り上げてますが、それでもいっこうに減らないのはどこかに問題があるのでしょう。行政ができること・販売業者ができること・動物病院ができること・そしてそれぞれの飼い主(あるいはこれからペットを飼おうとしている方)ができること、全てがかみあわないことにはこの問題を解決することは難しそうです。みなさん力を合わせて『半減』ではなく『ゼロ』を目指していきましょう。
骨盤骨折
交通事故で受けるダメージといういうのは非常に大きく、本日抜糸のため来院したアメリカンショートヘアーも交通事故により骨盤を骨折するという重傷で当院に来院されました。骨盤は体幹と後肢をつなぐ重要な骨格であると同時にその骨格内に直腸と膀胱を収め日常生活における排泄を維持しています。写真のとおりこの猫の骨盤はつぶされ、このままでは将来的に排便・排尿に障害がでることは間違いありません。状態が安定したところで、早々に手術を行いました。 [もっと読む…] about 骨盤骨折
内科症例か?外科症例か?
ダックスの人気とともに最近よく目にするようになった“脊椎疾患”。しかしこの病気はダックスに限らず他の犬種にも起こりうることで、写真のウェルシュコーギーも3ヶ月前に当院に腰抜け状態で来院されました。椎間板ヘルニアを疑い直ぐに脊髄造影、手術すべきであれば即手術できるよう準備を整えておいたのですが、造影した結果脊髄神経を圧迫しているヘルニア部位は映し出されませんでした。飼い主さんに来院していただき造影結果を説明、確定診断を受けるべく大学病院にてMRIを撮影することをお勧めしました。 [もっと読む…] about 内科症例か?外科症例か?