以前血液ガスというEntryで血液における酸・塩基平衡についてお話ししたかと思いますが、身体の酸・塩基平衡をもっと手軽に測定する方法として試験紙による尿検査があります。もちろん精度的には血液による測定にはかなわないのですが、日常の検診的な測定としては尿のphで充分ではないかと思っています。それでは一般に尿のphはどの位のに保たれているのかというとph5.5〜7.0(平均値6.4)に保たれているのが望ましいとされています。このバランスが崩れると尿石症を発症しやすい状態になりやすく、飼い主さんも獣医師も最も多く遭遇するものが“ストルバイト”ではないかと思います。この尿石症を発症してしまう原因に尿phのアルカリ化があります。日頃の食生活を改善するだけで弱酸性の体をつくり、尿のアルカリ化を防ぐだけで尿石症になりにくい体質を作ることができます。ペットの通販で尿のph試験紙は手にはいるようですので、気になる飼い主さんはcheckしてみてくださいね。
平和なG.Wを・・・。
G.Wも残すところ今日を入れて2日。皆さん何事もなく楽しくすごされているでしょうか?動物病院によっては3日〜5日と連休をとっていたところもあるかと思いますが、連休をとる時って内心は“急患がなければいいなー”というのが本音じゃないかと思います。当院は4日(木曜日)は休診日のためお休みをいただきましたが、3日と5日は診療時間を短縮して診療していたのですが、今年のG.Wも大きな急患もなく平和な時間を過ごすことができました。とわいえ休み疲れも出やすいG.W後半、皆さん怪我や急患にならないようにお過ごしください。尚、当院は今日から通常通りの診察時間にて診療しております。
デジタルの時代
レントゲン撮影というと、撮影したフィルムを現像しシャーカステン(現像したレントゲンを見るための照明器)で読影(診断)するというのが主流でした。ところが最近ではこの現像もデジタル処理することによりフィルムではなく画面で見ることができ、1cm位の撮影部位も何十倍にも拡大して観察することができるようになりました。これはCR(コンピューテッド・ラジオグラフィー)というもので、従来のレントゲン撮影で費やしていた時間やコスト・撮影ミスを無くすことができる素晴らしい器械です。当院も予てから念願だったこの器械を導入することができました。 [もっと読む…] about デジタルの時代
何の罪もないのに・・・
本日の新聞記事に【アイフル余波?チワワ値下がり。】とありました。クーちゃん効果で一時は60万円という値段が付いたというチワワですが、事件後の今では15万円前後だということです。どんな業界にも流行というものがありますが、あれだけもてはやされたチワワが、宣伝で使っていた業者の不祥事によって人気に陰りが出てしまうという世の中。ちょっと怖いような、寂しいような気がしませんか?
麻薬を使うための免許
ケタミンという麻酔薬が麻薬に指定されることは以前Entryしたとおりなのですが、獣医師もケタミンを使用する場合麻薬施用者免許というものが必要になります。今回のことがなければ、日々の診療には麻薬施用者免許のことなど考えてもみなかったことでしたが、手術をする際の麻酔にケタミンはどうしても必要です。もちろん麻酔薬はケタミン以外にも何種類かあるのですが、使い慣れた麻酔方法から新たに別の方法となると躊躇してしまう先生も少なくないでしょうし、私もその一人です。というわけで、私も免許の申請に行ってきました。免許が発行されればケタミンが正式に麻薬指定された後も変わりなくケタミンを扱うことができます。が、もし免許を申請しなかったとするとケタミンを使用することはおろか、所持していたということでいくら獣医師といえども逮捕されてしまいます。また、一部の飼い主さんから“麻酔料が高くなるのでは?”とご相談を受けたことがありましたが、麻薬指定後にケタミンの価格が変わるかどうかという情報は入ってきていません。法律が施行されるのは今年10月から来年の1月位の予定とのこと。これからの動向を落ち着いて見守っていきましょう。
オークションで予防薬?
某インターネットのオークションでフィラリア予防薬が売られているのを目にしました。一瞬目を疑いましたが、オークションにかけられている薬の名は‘ProHeart’、日本での販売名は‘モキシデック’でした。輸入元はアメリカかと思いきやどうやらオーストラリアの業者からのようです。オーストラリアでは本当か嘘かわかりませんがフィラリア予防薬は人の風邪薬や胃薬のように薬局で購入することができるというのです。海外で‘Interceptor’というものを‘ミルベマイシン’、‘Heartgard’を‘カルドメック’という名称で日本では販売しています。これらフィラリア予防薬の種類によっては、投与前検査なしに飲むことでショック症状のような重篤な状態に陥るものもあります。フィラリアを予防することは大切なことですが、予防するために与えた薬で思わぬ症状に陥ってしまうことほど本末転倒なことはないでしょう。もし何らかの形で手に入れたフィラリア予防薬があるようでしたら、いきなり投与してしまう前におかかりの獣医さんに見てもらうことをお勧めします。
情報を発信するものとしての責任
【インターネットは、誰でも簡単に情報を集め、また誰でも容易に情報を発信できる場所だ。しかし、その手軽さや匿名性から、虚偽の情報を流されたり、一方的な誹謗中傷にさらされることもある。もし自分の会社や自分自身が被害者の立場になったら……。】ITmediaというページの見出しにこんな記事を見つけたので読んでみました。確かにこれだけ情報が氾濫している時代、裁判沙汰になった事例もあるようで情報を発信している側の者としては、間違った情報や他を中傷することの無いように気を配っています。 [もっと読む…] about 情報を発信するものとしての責任
その道を究めるのは・・・
日曜日の午後、診療を休ませて頂いて東京まで眼科の講習会に行ってきたのですが、やはり第一線で活躍されている先生の話は非常にためになりました。言葉を話すことのできない犬猫にとって、眼は表情を表すためには大切なもの。この機能を白内障や角膜の傷などによって失ってしまうことは大問題です。今回の講習会では私たち獣医師が日常診察のなかで見逃しやすい眼の病気や鑑別の仕方など、短い時間でしたが充実した時間を過ごすことができました。勉強してきた内容は日々の診察にフィードバックしていきたいと思っています。しかし、ある分野でそれだけを専門的に診察する(できる)というのは“弛まない日々の努力があってこその賜なのだなぁ”と痛感しました。
見聞を広げるために
大学を卒業して9年になりますが、やはり9年間では経験を積めない分野があります。というのも全科を診療しなければならない獣医療としては、対応が取れるようどうしても広く浅く勉強しなければなりません。もちろんその中で興味を持った分野を突き詰め、専門病院として多くの症例を扱えるようでなければいけないと思っています。しかし本の上だけの知識では多くの症例を見た人の経験にはかないません。今度の日曜日(9日)、“獣医界の眼科といったらこの先生”のレクチャーを受ける機会に恵まれました。と言うわけで、日曜日午後の診療は誠に勝手ながら休診とさせて頂きます。午前の診療は通常通り行っております。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願い致します。
暖かいのか、寒いのか
当院の裏手にある八幡山公園の桜も3分咲きとなり、暖かい春までもう一息といったところでしょうか。今まで何度かEntryしている内容ですが、この時期には雄猫の膀胱炎(尿閉)の患者さんを診察する機会が多くなります。膀胱炎は寒い時期に多いと思われがちですが、気温が安定しないこの時期には意外と見逃しやすく症状も進んでしまっていることが少なくありません。先日も猫を2頭飼われている患者さんが来院し、尿が出ていないようだということで診察してみるとその尿は真っ赤で陰部は炎症を起こしていました。雄猫を2匹以上飼われている方はどちらの猫がどれだけ尿をしているか見分けることは難しいと思います。そんな時は猫の下腹部を優しく押してみてください。嫌がるようだと膀胱炎になりかけている可能性があります。早めにかかりつけの先生の診察を受けてください。