初めて犬を飼われた方や高齢の方に多いのですが、“フィラリアの注射をうってください!”と来院される方がいらっしゃいます。ちょうどこの時期は狂犬病や混合ワクチンなどと重なってしまい混同してしまうようですが、フィラリアは飲み薬によって予防するのが主流となっています。数年前まで注射によるフィラリアの予防薬(モキシデック-SR;同じ名称での飲み薬については問題はないようなのでご安心ください)があったことは事実ですが、副作用(死亡例も含めて)の報告が相次いだ為、メーカーにより回収・販売中止に至りました。現在、動物病院で使用されているフィラリア予防薬は場合によって消化器症状(嘔吐や下痢)が観察されることもありますが、まず安全なものです。予防のための薬だからこそ安全なものを選んであげたいものです。
手術に使う糸のこと。
薬と同様に手術の際に使用する糸にもいろいろ種類があります。あるメーカの糸のカタログは厚さが約1センチもあり、その中には角膜や血管を縫合するものから皮膚を縫合するものまで多岐にわたっています。生体内に使用する糸吸収糸というものが主流になってきていますが、昔から使われ続けているオーソドックスな糸として絹糸があります。好んで使用されている先生も多いのですが、この絹糸も時として生体内で悪さをすることがあります。 [もっと読む…] about 手術に使う糸のこと。
ちょっとひと工夫
手術の際に使用する電気メスの専用架台がほしいなあと思っていたのですが、医療用と名が付くだけでどんなものでも値段が高くなります。さらに動物専用となるとなおのことです。今までは既製品の棚の中に納め壁際によせておいたのですが、だんだん増える医療器械によって手術室は狭くなるばかり。何とかスマートに収納したいものだと思い“自分で作っちゃえ”と昼休みにホームセンターで化粧板を切り出し組み立ててみました。 [もっと読む…] about ちょっとひと工夫
絆をみた瞬間
土曜日の晩に試験開腹し、肝臓の癌が疑われるダックスフンドが夕方亡くなりました。正直、手術をしたことで体力を消耗しているので今日までもたないのではないか?というのが私の気持ちのどこかにありました。午後の診療時間に飼い主さんが来院し面会を終えようとしたとき、飼い主さんの顔を見て安心したかのように静かに息を引き取っていきました。昨日も辛そうに呼吸をし、どうすることもできないまま飼い主さんに会える今日まで頑張って、やっと安心したかのようでした。手の付けられない状態で何もしてあげることはできなかったけれど、苦しみから解放された今、安らかに眠ってほしいものです。合掌
閉じるしかない・・・
昨夜は、急にお腹が膨らんできたということで入院していたダックスフンドの手術を行いました。血液検査では肝機能の数値が上昇し、レントゲンでは肝臓の腫大が確認されました。超音波検査をしてみると胆嚢内に胆汁のうっ滞(胆泥)と肝臓実質に怪しげな陰が確認されました。一般的な内科治療(点滴やお薬での治療)では改善が望めそうもなかったため、飼い主さんの了承を得て試験開腹に踏み切ることにしました。 [もっと読む…] about 閉じるしかない・・・
どれを選びますか?
そろそろフィラリアの予防薬を飲ませようかという時期になりました。検査の必要性については4月20日のentryでお話ししていますが、今日は予防薬の種類についてお話ししたいと思います。現在主流なのは、ミルベマイシン・オキシムを主成分としているミルベマシンA錠、イベルメクチンを主成分としているカルドメック(錠あるいはチュアブル)、モキシデクチンを主成分としているモキシデックの3つの薬ではないかと思います。当院では今までの使用感や信頼性ということで、ミルベマイシンA錠とカルドメック・チュアブルを処方させて頂いております。 [もっと読む…] about どれを選びますか?
さぞかし重かったでしょう・・・
ここのところ急にお腹が膨らみだしたというマルチーズ、レントゲンを撮ってみると下腹部に本来では観察されない大きな丸い陰が確認されました。場所的には子宮があるべき所なので子宮が腫瘍化してしまったものか?12歳という年齢もありましたが手術をしてみると、2.4kgの体の中にとても想像の付かないくらい大きく腫大した子宮が姿を現しました。麻酔から覚めたこのマルチーズ、さっぱりした様子でケージの中でくつろいでいます。(続きにはちょっとすごい写真が・・・) [もっと読む…] about さぞかし重かったでしょう・・・
手術に代わる・・・
内視鏡はあると便利な医療器具です。胃や腸の異常(潰瘍や癌など)を確認することや、誤って飲み込んでしまった異物を体にメスを入れることなく取り除くことができるすばらしい道具です。実際処置にあたってみると、手術してしまった方が麻酔をかけている時間は短くて済むことが多いのですが、体にメスを入れなくて済むというアドバンテージの方が勝っているようです。今日は体重が2キロに満たないヨーキーの内視鏡処置を行い、写真にあるような異物を無事取り出すことができました。これだけ小さな体格だと、手術をした場合最低でも2〜3日の入院は避けられませんが、内視鏡で異物を取り出すことができたので本日無事に帰ることができました。しかしながら医療器械、特に動物用のものとなる値段も高価でなかなか手が届きにくいものです。もう少し何とかならないものですかね〜。内視鏡に限らず医療器械のメーカーさん、なんとかよろしくお願いします!! [もっと読む…] about 手術に代わる・・・
上げ下げ楽々!
30キロを超えた大型犬を診察台に乗せるのもなかなか大変なものです。ダックスなどの小型犬が人気ですが、ラブラドールなどの大型犬も根強い人気があります。今回導入した診察台は床から38センチの所まで天板が上下してくれるため、なんといっても大型犬の診察が楽になりました。フットスイッチで上下させるのですが、天板に乗った犬達も上下する診察台に不思議そうな表情を見せてくれます。診察する側もされる側も、少しでもストレスのない診察を目指して!この診察台が役に立ってくれそうです。 [もっと読む…] about 上げ下げ楽々!
夜間救急病院
横浜にはタイトルにもあるように横浜市内の50数名の獣医さんの出資によって設立された夜間専門病院ができたようです。診療はあくまで夜間のみ(21:30〜5:00)。昼間の診療や予防医療は行っておらず、救急で来院された患者さんの初療および救急治療を行って翌日には主治医の診療を受けられるような診療を行ってくれるとのこと。掛かり付けの病院が24時間体制ならば良いのでしょうが、 [もっと読む…] about 夜間救急病院