休みの日ともなると公園にペットをつれて散歩をなさる飼い主さんも多いかと思います。何頭か集まってみると、どうしてもなじめない子の1匹や2匹がいるでしょう。そんなときに相手を噛んでしまったりあるいは逆の立場に立ってしまうことがあるかもしれません。ほとんどの場合、噛まれて負傷してしまった方が被害者となりますが、もしかしたらその発端を作ってしまったのは噛まれた側にあるのかもしれません。自分のペットはおとなしいからとか、噛んだことがないからといって100%安心してしまっていたり、飼い主が制御することなくペットの好きなようにさせてしまい事故にあったりすることは、どちらが被害者で加害者なのかという問題ではないかと思います。ペットが事故に遭うあわないは飼い主さんの気配り次第!気をつけてあげてください。
ヘルニア続き!
昨日のEntryでは軟部組織のヘルニアでしたが、今晩は椎間板ヘルニアの手術が控えています。やはり犬種はダックスフンドなのですが年齢は5歳、まだまだ若いのにヘルニアには年齢はあまり関係ないようです。(ヒトでも若くしてヘルニアの手術をしている方もいますし・・・) 以前は椎間板ヘルニアの手術にはちょっと否定的な考えを持っていたのですが、実際手術して経過を見る限り手術のタイミングにもよりますが、早期に造影を行い手術をしてしまった方が良い結果を得ることができています。
ただ手術を受ける飼い主さんに再度お伝えしたいのは、骨や関節関係の手術は手術をすれば完治ではなく術後のリハビリが大切だということを忘れないで頂きたいものです。特に椎間板ヘルニアのような手術ではリハビリの重要性が高くなってきます。飼い主さんが諦めてしまっては本人はどうすることもできません。結果が出るまでに時間がかかることも多いのですが、諦めずがんばってあげてほしいものです。
ヘルニアの術後。
4月に肛門周囲ヘルニア(会陰ヘルニアとはちょっと違うと思っています!)の手術をしたシェルティーをお預かりすることになり、術後の経過を観察することができました。会陰ヘルニアは去勢手術をしていない雄犬になぜか多くみられるものなのですが、会陰ヘルニアと思って手術に挑むととんでもないところにヘルニア輪ができているときがあり頭を抱えたくなるときもあります。このシェルティーも過去に手術を受けたヘルニア部はしっかり直っていたのですが、その場所を避けるようにヘルニアができていました。とりあえず術後は良好ですが、肛門周囲の筋肉はほとんど脆弱だったことは確認できているので再発しないことだけが心配です。どうしてこのヘルニアが起きるのかは完全に解明はされていません。“くさいものにはふたをする”といった手術では完治は難しいかも知れません。まだまだ研究の余地はあるようです!(肛門のアップの写真です。食事中の方m(_ _)mです。)
犬猫も汗をかく?
これから暑くなると汗をかく機会が多くなります。そこで犬猫は?ということになりますが、もちろん犬猫も汗をかいています。とはいってもヒトのように汗を分泌する汗腺というものが全身にあるわけではないので、汗が分泌されているのは四肢の裏からのみということになります。病院で診察台の上に乗せられると台の上に足跡がくっきり残った(汚れではなく)経験があるかと思います。ヒトも緊張すると手に汗握るといいますが、犬猫も診察台の上で緊張して手(足)に汗握っているのかもしれません。
さてこれからの時期、暑そうだからということでサマーカットをされる飼い主さんがいらっしゃいますが、犬猫が熱を発散するのは舌からがほとんどと四肢の裏からです。カットしたことで涼しくなっているかというと、ちょっと?かもしれません。まあ、見た目に涼しくなるのも大切ですけど・・・。
ひと安心!
5月3日に手術をしたマルチーズ(子宮内の腫瘍)の病理検査の結果が返ってきました。急激に大きくなってきたこと、腫瘍の断面(公開はしませんでしたが・・・)を見るからに、ここのところ悪性腫瘍続きだったので今回もか!と思っていたのですが、結果は子宮の(嚢胞性)過形成ということで悪性所見は認められないということでした。抜糸も済み、本人の体も飼い主さんの気持ちのもやもやもさっぱりしたことと思います。今日はリンパ腫のゴールデンの抗ガン剤投与日でしたが、この子の経過も良くほんとにひと安心の一日でした。悲しいこともあれば楽しいこともある、なるべくならうれしいことばかり続く病院でありたいものです。
猫のクラミジア
皆さんはクラミジア感染症というと何を思い浮かべられるでしょう?性病やオウム病の原因菌としての認識は高いかと思いますが、猫に肺炎を起こす原因菌の一つであることをご存じでしょうか?現在は猫が肺炎などの呼吸器症状を起こす原因の大半はウイルス感染ということで研究が進んでいますが、クラミジアも忘れてはならない原因のようです。クラミジアを含んだ予防ワクチン(イギリスでは猫の予防ワクチンの主流になっている)も発売されていますが、一般的に普及している3種ワクチンと比較すると提供させていただく価格も高く設定しなければならないことも事実です。(もちろん予防することが大切ですが、感染を起こしたとしても抗生物質による治療が可能ですのでご安心ください)少しずつですが猫のワクチンの選択肢も増えてきました。病院で勧められたからそのワクチンを打つのではなく、飼い主さんが望むものを打ってあげることが大切なような気がします。
フィラリアの注射
初めて犬を飼われた方や高齢の方に多いのですが、“フィラリアの注射をうってください!”と来院される方がいらっしゃいます。ちょうどこの時期は狂犬病や混合ワクチンなどと重なってしまい混同してしまうようですが、フィラリアは飲み薬によって予防するのが主流となっています。数年前まで注射によるフィラリアの予防薬(モキシデック-SR;同じ名称での飲み薬については問題はないようなのでご安心ください)があったことは事実ですが、副作用(死亡例も含めて)の報告が相次いだ為、メーカーにより回収・販売中止に至りました。現在、動物病院で使用されているフィラリア予防薬は場合によって消化器症状(嘔吐や下痢)が観察されることもありますが、まず安全なものです。予防のための薬だからこそ安全なものを選んであげたいものです。
手術に使う糸のこと。
薬と同様に手術の際に使用する糸にもいろいろ種類があります。あるメーカの糸のカタログは厚さが約1センチもあり、その中には角膜や血管を縫合するものから皮膚を縫合するものまで多岐にわたっています。生体内に使用する糸吸収糸というものが主流になってきていますが、昔から使われ続けているオーソドックスな糸として絹糸があります。好んで使用されている先生も多いのですが、この絹糸も時として生体内で悪さをすることがあります。 [もっと読む…] about 手術に使う糸のこと。
ちょっとひと工夫
手術の際に使用する電気メスの専用架台がほしいなあと思っていたのですが、医療用と名が付くだけでどんなものでも値段が高くなります。さらに動物専用となるとなおのことです。今までは既製品の棚の中に納め壁際によせておいたのですが、だんだん増える医療器械によって手術室は狭くなるばかり。何とかスマートに収納したいものだと思い“自分で作っちゃえ”と昼休みにホームセンターで化粧板を切り出し組み立ててみました。 [もっと読む…] about ちょっとひと工夫
絆をみた瞬間
土曜日の晩に試験開腹し、肝臓の癌が疑われるダックスフンドが夕方亡くなりました。正直、手術をしたことで体力を消耗しているので今日までもたないのではないか?というのが私の気持ちのどこかにありました。午後の診療時間に飼い主さんが来院し面会を終えようとしたとき、飼い主さんの顔を見て安心したかのように静かに息を引き取っていきました。昨日も辛そうに呼吸をし、どうすることもできないまま飼い主さんに会える今日まで頑張って、やっと安心したかのようでした。手の付けられない状態で何もしてあげることはできなかったけれど、苦しみから解放された今、安らかに眠ってほしいものです。合掌