アレルギー性の皮膚疾患の中で比較的良くみられる皮膚病としてアトピー性皮膚炎があります。このアトピー性皮膚炎、問題は炎症を起こさせる伝達物質(ヒスタミン、ヘパリン、タンパク分解酵素)の産生を抑えることなのですが、原因を正確に捉えていなければ症状を抑えることができません。また遺伝的なものが関与しているので、仮に体質を改善することができても全く治療しなくても良いというわけではありません。写真のように手足の先をしきりに舐めてしまい、脱毛と炎症を起こしてしまうことはこの皮膚炎ではよく観察されることです。?n さてこのアトピー性皮膚炎、どのように治療していくかということなのですが、まずヒトと一緒で長期にわたる(場合によっては生涯にわたる)治療が必要となります。また有効とされている薬も非常に限られ、使用方法によっては望まない副作用もみられることがあります。いろいろな民間療法もあるようですが症状をあるレベルまで落ち着かせることができるのはステロイドという薬です。ステロイドというと皆さん怖がって使用することを拒む方がいらっしゃいますが、大切なのは使用方法です。もしアトピー性皮膚炎と言う診断を受けたならば決して悲観的にならず前向きに治療方法を受け入れてください。完治する病気ではありませんが症状を少しでも楽にすることは可能なのですから。
心臓病の薬
体の中で1番働いている臓器といえば心臓、それに続いて肺ではないでしょうか?もちろんほかの臓器も働いてはいますが、寝ても覚めてもある一定のリズムで動いている心臓は休むことがない分疲労がたまり衰えていくのが早い臓器でもあるでしょう。?n 心臓病と言われると飼い主さんとしては非常にショックを受けられる方が多いのですが、心臓病と言っても重症のものから初期段階のものまでいろいろあります。先天的な心臓疾患でなければ、だいたい8歳を過ぎると心臓病の症状が出始める子がいます。さて心臓病の症状というと皆さんは何を思い浮かべますか??n [もっと読む…] about 心臓病の薬
キチンクリームについて
このページをご覧になった方から問い合わせのあったキチンクリームについてEntryしたいと思います。キチンはカニやエビなどの甲殻類の骨格や殻に含まれる繊維質のことで人工皮膚や手術の縫合糸として使用されています。キトサンとはほとんどがキチンを加工することで生産されるもので、皮膚の再生や免疫力強化、抗ガン作用などの作用があるものです。?n さてこのキチンクリーム、使用目的はペットの皮膚を守るケアクリームで、?強力な除菌・殺菌作用 ?肌荒れの防止 ?ノミなどの虫さされの炎症を防止 ?傷の痛みを和らげ回復を早める 作用があり当院ではニキビダニによる皮膚の痒みを抑える目的で使用していますが、飼い主さんには非常に満足していただいています。抗生物質やステロイド入りの軟膏とはまた違った効果があるこのクリーム、使用方法は多岐にわたって使えそうです。※このクリームは動物病院でお買い求め頂けます。
出張先での出来事。
昨日の夕方は、仕事を早く切り上げて手術依頼を受けた動物病院へ。いつもだと自分が着くとすぐに手術の準備に取りかかるのだがちょっと待って欲しいとのこと。“どうしたのかなあ〜?”と待っていると老夫婦が息も絶え絶えの雑種を連れて来院してきました。診察の様子をみているとどうやらフィラリア症のようで、血液を顕微鏡で見させてもらうとミクロフィラリアが・・・。今日、命が持つか持たないか?位の状態でした。?n やはり予防第一の病気であるフィラリア症、ひと月分の薬代としては数千円でしょうが1日としては数十円でこの怖い病気から守ってくれる予防薬。去年投与するのを忘れてしまった飼い主さんもいることでしょう。さあ、明日にでも動物病院で血液検査を受けてみてはいかがでしょう。感染してしまってから後悔しないように・・・。
エキノコックスについて(追加)
先日、Entryさせていただいたエキノコックスについて北海道大学・寄生虫学教室の先生よりご助言を頂きましたのでお知らせしたいと思います。まず、犬猫への感染についてですが野ネズミを採食しないと感染は起きないとのことです。特にペット連れで北海道に遊びに行かれる方、これから引っ越し等で北海道に来られる方には特にペットと野ネズミとの接触を避けるようにしていただきたいとのことでした。?n 狂犬病も我が日本では昭和32年を最後に発生はありませんが、決して世界中のどこにも狂犬病がなくなったわけではありません。特にエキノコックスは北海道からキタキツネの本州への上陸により、決して“対岸の火事”的病気ではなくなる可能性があります。予防することのできる病気は積極的に予防していくことが、病気からペットひいてはヒトを守る方法なのかもしれません!?n ※明日、月曜日は出張手術のため午後の診察は6時までとさせていただきます。
不妊手術のこと
不妊手術というと、雄では精巣を摘出することが一般的です。ところが雌においては卵巣のみを摘出する手術と卵巣および子宮体を摘出する手術の2通りの手術方法があります。(前者の手術の場合、後に子宮の病気になることがあります)?n さて雌での不妊手術、飼い主の皆さんにとっては手術代ということが大きな問題になってくるのではないでしょうか。人医療とは異なり診療費や手術費用が明確に定められていない獣医医療では猫の不妊手術を5.000円位で手術しているところもあれば30.000円以上かかる病院もあるようです。問題は果たしてその手術内容がどこまでのものなのか良く確認されてから手術をうけることです。不妊手術をしたはずなので子宮の病気でまた手術なんてことにならないように・・・。
新しい注射液
以前にニキビダニについてはエントリーしていますが、治療薬として新しい注射液が発売されたのでお知らせしたいと思います。ニキビダニは未だにその疫学的なところが解明されてなく、特に有効な治療方法も確立はされていません。けれども当院でこの注射薬が少しずつではありますが効果を上げています。もともとニキビダニの注射薬は大動物の治療薬(大動物にも頑固なダニがいるのです!)として使用されていたものを小動物に応用して使用していますが、個体差はあると思いますが充分な効果を得られそうです。当院ではニキビダニの治療にこの注射液を使用し、皮膚の痒みのコントロールにはキチンクリームというものを使用していますがなかなか効果的なようです。現在、ニキビダニと戦っている飼い主さん、是非試してみてはいかがでしょうか?
エキノコックスについて
昨日“本当は怖い家庭の医学”で放映され、今朝から問い合わせがあったエキノコックスについてお話ししたいと思います。エキノコックスというのは、ノミによって媒介される犬猫では比較的耳にすることの多い寄生虫の一種である“瓜実条虫”と同じ仲間です。さてこのエキノコックス、特に問題となるのがEchinococcus multilocularis(多包条虫)というものです。ペット(犬猫)には成虫が寄生し、ヒトには幼虫が寄生する条虫なのですが、成虫の感染ではほとんど無症状な場合が多いです。ところが幼虫がヒトに寄生すると症状は非常に劇的で死に至る場合もあります。?n さてその予防法ですが、犬猫に対しては駆虫薬があるので定期的な駆虫を心懸けることで何の心配もいりません。ヒトでは条虫の虫卵を経口摂取しなければ問題ないのですが、犬猫との過度なスキンシップを控えることで充分に予防できます。テレビでも寄生虫の先生がお話ししていましたが、スキンシップをした後の手荒いやうがいをすることが病気を回避する1番の方法ですよ。
理想的な手術室を目指して
ヒトの病院では手術室というと完全な無菌状態が保たれ、他の人は別室モニターで経過を観察するようです。(この前までフジテレビで放映していた“白い巨塔”でもこのような場面がありました。)ところが獣医医療ではまだまだ“手術室兼レントゲン室”という病院が多いようです。もちろん予算やスペース的な問題などありますが,やはり外科を標榜して開業するものとして手術室は手術時のみに使いたいものです。以前勤務していた、みなとよこはま動物病院(永岡犬猫病院)では整形外科が多いこともありますが、手術室は陰圧に保たれ人の病院にも引けを取らない立派な手術室を完備していました。そのようなところで勤務していると自ずと“自分の病院でもそうしなくては!”と思うものです。?n 当院の手術室もまだまだ理想的な手術室とは言えませんが、手術のみに使える部屋を設けることができたことは恵まれているなぁ!と思っています。これからもさらに清潔で安全に手術ができる手術室(もちろん技術も)を目指して行かねばと思っています。
肥満と麻酔の関係
人でも太っていると麻酔がかかりにくく、さらには覚めにくいといわれていますが、それは犬猫でも同じことです。吸入麻酔というのは気化させた麻酔薬を肺から吸収させ血液内に取り込んで鎮静化(眠った状態にし、無痛状態にすること)することなのですが、太っていることで全身的に麻酔薬が効果を及ぼすのには脂肪に蓄積してから効果を発するため時間がかかります。そして覚めるときにも、麻酔を切った後も脂肪に蓄積した麻酔薬の効果が残っているために麻酔が体から排泄されるまでに倍以上の時間がかかってしまいます。今まで肥満が及ぼす影響についてEntryしてきましたが、こんな所にも問題が生じてしまうのです。やはり肥満には要注意ですね!