抗生物質と言うと万能薬のように思われている方も多いかと思いますが、飲み方や使い方を間違ってしまうと治る病気も治らなかったり、症状をひどくしてしまうこともあります。過去にあった経験では、下痢なので薬を飲ませていたのですが全然治らないと言う患者さんがいらっしゃいました。飲んでいた薬を見せてもらうと抗生物質でした。下痢に限っていうと、便のなかにいるとひどい下痢を起こしてしまう細菌がいた場合その細菌に対して効果がある抗生物質を飲ませますが、それ以外の時には整腸剤(ビオフェフミンのようなもの)による治療のほうが効果があると思います。
動物病院でもらった薬が残っているから飲ませて様子を見てしまう方がいらっしゃいますが、症状によって薬を選んでいます。“これは抗生物質だからだいじょうぶだろう”と飲ませてしまう前に、かかりつけの先生にちょっと確認してみてはいかがでしょう。
走り出す前に・・・
昨日の夕方に交通事故で猫が運ばれてきました。(骨盤がつぶれてしまい、両足とも骨折していました)来院したときにはすでに体も冷え切ってしまい、呼吸も荒く粘膜の色も血の気を失った状態でした。血管を確保し、ショック止め注射を打ち点滴をしながら何とか状態の改善を試みてみましたが、治療の甲斐なく亡くなってしましました。(おそらく膀胱破裂もあったのでしょう)
この猫は道ばたでひかれてしまっていたようですが、これから寒くなってくると車の下はエンジンの熱で暖かいため、猫(時には犬も)が潜り込んでいることがあります。去年もこのケースの交通事故が結構ありました。お車を運転される方は走り出す前に車の下のcheckをお忘れなく!
この結晶には要注意!
昨日から急に寒くなりましたが、これからの時期(特に猫)注意しなくてはならないのが“尿石症”です。写真はストロバイトの結晶(リン酸アンモニウムマグネシウム)というもので、尿石症のなかで一番よく観察される結晶です。どうしてこの結晶が尿中に形成されてしまうのかというメカニズムははっきりしていませんが、もし尿のなかにこの結晶が観察されたら非常に厄介です。
今までに膀胱炎を患ったことのある猫(特に♂)を飼われている方は“おしっこがちゃんと出ているか”とか“食欲が落ちていないか”よく観察してあげてください。もしおしっこのスタイルをしているにもかかわらずおしっこか出ていないようならすぐに動物病院へ走ってください。この病気は処置が早ければ早いほどいいのですから!
類似品にご注意!
今年、ノミやダニの被害にあった飼い主さんの70%位の方が“ノミダニ予防薬をつけているのにどうして?”と言われていましたが、よーく聞いてみると近所のホームセンターで購入した“〜ライン”とか“〜スポット”という予防薬だったんですね。動物病院で売っているものとホームセンターで売っているもの、何が違うかというと“動物用医薬品”であるかないかの差なのです。ホームセンターで売られているものは安いかもしれませんが、事故などが起きてしまうと問題になるため殺虫効果が非常に弱いものが主成分(効かないわけではありません)になっています。その点、動物病院で扱っているもの(動物用医薬品)では殺虫効果が強いものが使われており安全性の裏付けもしっかりしています。
“動物病院で買うと高い。”と思われている方も多いかもしれませんが、市販品から比べると効果持続期間も長いことを考えると決して高いものではないと思いますが、皆さんどう思われます?
きっかけは・・・
今日は話題になるようなネタが無かったので、私が獣医になろうと思ったきっかけをお話ししたいと思います。まず家業が動物病院だったということは大きいですね。物心ついた頃から伯父や父が診療している姿を見ていましたし、家にはかならず犬を飼っていました。学校で将来の進路は?という質問には“獣医になる。”と答えていましたし。けれども大学受験を意識する高校2年生までは理系の科目は全然ダメでした。(おかげで1年間浪人することになりましたが)
なんとか大学に合格し獣医になる道を歩き始めた頃も、ただ“家業を継がなくてはならない”といった意識ばかりが先行していたのが正直なところです。なので自分がどんな獣医さんになりたいというのも漠然としていました。
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麻酔はこわいもの?
何年か前の番組で“麻酔”というドラマがあり、手術を受けた女性が麻酔後に覚めることなく植物状態になってしまったという内容だったかと思います。人医療では大きな病院に行けば必ず“麻酔科”というものが存在し“麻酔医”という専門医がいますが、獣医医療では“麻酔医”というものはまだ存在せず麻酔のかけ方も統一されたものはありません。このためか日本の小動物医療での事故で最も多いのが“麻酔事故”のようです。
このように書いてしまうと“麻酔”が非常にこわいものと思われてしまうかもしれませんが・・・
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先手の医療
獣医の治療というのはどうしても後手の治療が主なものになります。人では自分の体調がおかしいと感じたら病院に行きますよね。けれども動物の場合は飼い主の皆さんが様子の変化に気付いてからの来院になります。症状として表れはじめたときには病状としてだいぶ進行していることが多いものです。
その点ワクチン接種やフィラリア予防薬は目に見えた効果はわかりませんが、着実に病気からペットを守ってくれています。この時期だんだん涼しくなってくるとフィラリア予防薬を飲ませるのを忘れがちな方が多いんですよね。飲ませなくてもフィラリアに感染しなかったのはホントにラッキーだったのです。まだまだ我が地元、宇都宮でもフィラリア感染犬もいますし予防されてない方もいます。フィラリアは先手が打てる治療です。お忘れなく!
健康はまずお口から
左の写真、上の写真も下の写真も同じ犬の写真なんですよ。黄色っぽく見えるものが歯石でその下にはこんなにきれいな歯があるんですね。歯石を取る方法もまちまちなのですが、当院では全身麻酔をかけ超音波のスケーラー(歯医者さんと同じもの)で隅々まで歯石を取っていきます。“麻酔をかける”というと皆さんちょっと敬遠しがちなんですが、起きているときにはなかなか口を開いたままでいてくれないペット達の歯石をきれいに取り除くためにはこの方法が一番だと思います。
最近、ペットの口臭が気になる方はちょっと口の中をのぞいてみてはいかかでしょう?歯槽膿漏になる前に一度ケアーしてあげることをお勧めします。しっかり食べないと健康な体はできませんからね!
小さな吸血鬼
今日で3連休も終わりですが、連休中ペットも一緒にお出かけになったことでしょう。旅行先や家に帰ってきてふとペットの背中をなでてみるとごま粒より小さく黒くうごめくものが・・・。そんな経験をされた方もいらっしゃるかもしれません。そうこれが“ダニ”なんです。もし捕まえようとして跳ねるようなら“ノミ”です。どちらも動物の体に取り付いて血を吸う“小さな吸血鬼”の正体なんです。
さて対処法なんですが、ノミだったらお風呂に入れてしまうのが一番簡単かもしれません。お風呂にはいることでノミが溺れてしまうんですね。吸血中のダニの場合はちょっと厄介です。無理に引っ張って取り除こうとずると、がっちりと皮膚に食い込んだ牙が皮膚に残ってしまうことが多いのです。そこで台所にある食器洗い洗剤を吸血中のダニにたっぷりつけてみてください。しばらくするとダニは簡単に取ることができますよ。吸血中のダニがいたら焦らずこの方法で退治してあげてください。
新聞に掲載!
お気づきのの方もいらっしゃると思いますが、9月11日(木)の下野新聞朝刊にこのホームページが掲載されました。もし下野新聞をご購読されている方はご覧になってみてください。
【お詫び】
本来ならば本日は診察日なのですが、大学友人の結婚式のため臨時休診とさせていただきます。なお明日は通常通り診察いたします。