ペットを飼い始めて初めて手術のことを考えるのは、雄なら去勢・雌なら避妊ですよね。問題なのは時期だと思います。最近ではドッグランやペットカフェなども増えてそれらの施設を利用するにあたりいろいろな制約があるようです。ワクチンを接種していることはもちろん、避妊・去勢も制約しているところもあるようです。まあ発情している雌犬がいたらば周りにいる雄犬は気になって仕方がないはずだし、もしドックランだったら大変なことが起きます。
獣医さんの立場としても避妊・去勢の時期についての意見ははまちまちだと思いますが・・・
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食生活について
“うんちが出ない”の日にも少々コメントさせていただいたのですが、皆さんペットの食事はどうなさっていますか?初めてペットを飼い始めた方は“市販されているペットフードしか食べてはいけない!”と思われている方が多いようですがそんなことはないんですよ。
確かにペットフードは優れた総合栄養食であり、与えることも非常に楽です。年齢によって必要な栄養分が調整されていたり、少々肥満傾向の子に対してはダイエットがしやすいものもあります。その反面、グルメ指向の食事も増えておりちょっと前までは考えられなかったような病気(贅沢病)も増えつつあります。これらの病気については後日コメントさせていただくことにして、個人的におすすめの食事を紹介しましょう。
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治療の限界
病気によってはどんなにがんばって治療してもどうにもならないことがあります。それは年齢のせいだったり、悪性度の強いガンであったり。そんな時ってやはり非常に無力感を感じ、もし次に同じような症例がきたらもっと良い対処法はないかと勉強するものなのですが、治療の限界は以外とその病院や担当の先生が作ってしまっているの限界だったりするんですよね。
私が勤務医をしているときに言われたことなのですが、“自分の力量だけで預かっている命の限界を決めるな。”ということでした。かといって自分の力量以上のことをして事故を起こすことはもってのほかなのですが、動物医療のレベルも近年非常に高くなってきています。大学病院はもちろん個人の病院でも規模の大きいところは、個人病院では思いもつかないような治療を行っているところもあります。
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続・パグの五つ子
23日の午前中、11日に出産したパグの五つ子ちゃんが検診にいらっしゃいました。生まれたときは150gだった体重も450gに増え順調に成長しています。みんな元気に動き回るので少々(でもないか)ピンぼけの写真になってしまいましたが、この子達を飼ってくれる方を募集しています。飼い主さんの希望としてはなるべく近所の方が良いということなのですが、仮に遠くてもメールで写真などを送ってくれる方なら構わないとのこと。皆様のご連絡をお待ちしています。
ここでお節介かもしれませんが動物を飼うときのアドバイスを・・・。1つの命を預かるわけですから、それなりの心構えを持って世話をしてあげてください。これから生活していくうえで予防ワクチンを打ったり、避妊や去勢の手術をしたり。もし病気になればそれなりにお金もかかります。ペットは飼い主を選べません。この人に飼ってもらえて良かったと思ってもらえるような飼い主さんになってあげてくださいね。
動物の専門医
人の病院は、内科・外科・皮膚科・小児科etc.と非常に診療科目が細分化され、病気の時にはどの病院に行けばいいのか明快ですよね。夕方のニュースなどでも動物病院特集をやっていたりしますが、救急の場面ばかりがクローズアップされ病院の特徴的なものはなかなか取り上げられていませんよね。
患者さんが本当に知りたいのは、“この病気ならこの病院”といったものではないでしょうか。大学6年間だけでの勉強では専門分野を突き詰めることは非常に難しく、卒業後の代診先の病院や大学院、あるいは独学で勉強によって身につけている先生方が多いのが現状だと思います。首都圏の病院では症例数も多いので“〜専門”という病院が目立ってきましたが、地方の病院ではなかなか単科病院というかたちで経営していくのは難しく専門の道を極めるのは難しいものとなっています。とは言っても我が栃木県にも専門をもたれて開業されている先生が少しずつ増えてきています。
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生みの親、育ての親
私は高校を卒業して、1年間予備校に通わせてもらい何とか藤沢にある日本大学の獣医学科に入学することができました。6年間不自由な思いをすることなく過ごし、無事に獣医師免許を取ることができたのも当病院の院長である父のおかげです。大学卒業後、獣医師として自分に大きな影響を与えてくれたのは永岡犬猫病院院長(現・みなとよこはま動物病院)である永岡勝好先生でした。
動物病院といったら自分の家の病院しか知らなかったのですが、永岡犬猫病院に大学在学中に実習に行ったとき“ほんとにここが動物の病院?”が正直な感想でした。とりわけ目を引いたのが手術室の大きさでした。病院の施設もさることながら、院長の動物を救うことに対しての情熱、新しい手技の開発、獣医師としての姿勢、全てにおいて尊敬でき“ここで修行しなければ”と、ほんの数時間で決心しました。
今でもたまに院長の手術を見学させてもらいに横浜に足を運ぶのですが、バリバリ手術をこなしている姿を見ると“この人にはとてもかなわないな”と思う反面“少しでも近づけるよう努力しなければ”と思う今日この頃です。
手術前には・・・
昨日はちょっと設備の話になったので、今日は術前検査のことを書いてみたいと思います。術前検査というのは読んで字のごとくなのですが、手術前に行う体内臓器の検査のことです。当院では手術前には左図のような紙面にて検査結果をご説明させていただいています。
以前に“犬猫の1日”の項目で書いているのですが、犬で10歳といったら人の56歳に相当します。例えば人がこの年齢で手術を受けなくてはならないとき、病院では術前検査として血液検査はもちろん心臓の検査などを行ってから手術に挑むことと思います。人医療では当たり前のように行われていることなのですが動物医療ではどうでしょう。
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家業を継ぐのも
大学に通っているときの話なのですが、同級生に“お前は実家が動物病院だから卒業してもいいよな!”といわれたものです。自分も在学中はそう思っていたのですが、現実はそうでもないんですよ!父との年齢は30以上違います。もちろん大学でうけてきた内容も違い、卒業後うけた臨床獣医師としての教育も違います。診断に対しての考え方・治療の進め方、一致するもののほうが少なく、かえって自分で思ったように病院をやっていた方がストレスは少ないと思います(開業するための資金的ストレスは大きいと思うが)。
homepageに掲載している病院内の設備もここ2年間でそろえたものがほとんどです(結構大変でした)。昔は診療所的な病院で血液検査なんてものはありませんでした。“設備なんてなくても”まあそれでもやっていけた時代ですから良かったのですが、ペットブームとともに病院のあり方も変わってきたのではないかと思います。“治ればいい”だけではなくしっかり診断をつけ治療していくことが大切だとは思いませんか。
今までの病院の流れを壊さずに新しい方向に向かっていく!なかなか大変です。
いい病院って?
皆さんにとってどんな病院ですか?僕は大学を卒業してから横浜の病院に勤務していたのですが、地元の栃木に戻ってからいい病院のあり方というものが解らなくなったことがあります。横浜ではスタッフも多く検査機器もそろっていたのでほとんどのことが診断可能でした。もちろん費用もそれなりにかかりはしましたがほとんどの患者さんは満足されていました。
飼い主さんにとっては“よく見てくれるとこと。 ”そして“早く治るところ。”なおかつ “治療費も安いところ。”ですよね。なかでも飼い主さんにとっては一番最後の条件が大きいですよね。もちろん動物医療にはまだ保険制度が確立していないので料金というのは大きな問題ですよね。けれども新規で開業した獣医さんやどんどん新しい検査機器を取り入れている獣医さんは、それなりに大きな借金を抱えながらも少しでも命を救うのに役立てばという思いのもとに設備投資をしていると思います。病院選びの基準って値段だけではないと思うのですが皆さんはどう思われますか。
暇な一日
入院していた前庭疾患のワンちゃんが退院し、お盆中お預かりしていたマルチーズがお迎えにいらっしゃって、午後からはしとしとと雨降り。さすがにこの雨の中ではペットを連れてくる方は少なく、“お薬だけください。”という方がほとんどでした。
勤務医をしていた頃は少々暇だとホッとしていたのですが、病院の経営に携わってくるとまずいなと思ってしまいます。病気が少ないと言うことは獣医師としては(飼い主さんとしても)喜ばしいことなのですが、病院経営ということになると喜んではいられません。少々時間があった方が患者さん一人一人ゆっくり診察できますが、忙しくないと少々不安になる。なかなか獣医師として葛藤があるのですが、これからも総合的な診察・治療ができる病院にできるように“暇な一日”は勉強しなければいけませんね。